第51回 核燃料物質の取扱いに関する技術
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第51回 核燃料取扱主任者試験 核燃料物質の取扱いに関する技術
第1問
以下の問いについて答えよ。
(1) 次の文章はウラン濃縮に関して述べたものである。 文章中の空欄に入る適切な語句を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
ウラン濃縮とは、熱中性子で核分裂を起こすU-235の割合が多い[①濃縮]ウランを得る処理である。 ウラン濃縮では、わずかな質量差しかない同位体を分離することから、 [②気体]として処理することが有効である。 このため、比較的低温で[②気体]となるUF6の形態として取り扱う処理法が実用化されている。 ウランをUF6として取り扱うウラン濃縮法のうち商用工場の稼働実績がある方法には、[③ガス拡散]法と[④遠心分離]法がある。 UF6を用いない方式としては、ウランの金属蒸気を用いる[⑤原子]法とウラン水溶液を用いる[⑥イオン交換]法がある。
(2) ウラン濃縮を行う目的を説明せよ。
【解答例】
天然ウランを構成する同位体のうちU-238は高速中性子でしか核分裂を起こさないが, U-235は幅広いエネルギーの中性子で核分裂を起こし,特に低エネルギーの熱中性子で核分裂を起こしやすい. 現在,発電炉の主流となっている軽水炉では核分裂で生まれた高速中性子を軽水で減速してできるだけ低エネルギーの中性子とし, U-235を核分裂させてエネルギー生産をしている. しかし,天然ウランに含まれるU-235の比率は約0.7%と小さく,そのまま軽水炉の燃料に用いても核分裂連鎖反応を維持できない. このため,ウラン濃縮プロセスによってU-235の比率を3~5%に高めた濃縮ウランを製造し,燃料として利用している. (atomica)
(3) (1)で挙げられている4つのウラン濃縮法のうち2つの方法を選んで、それぞれ概要及び長短を述べよ。
【解答例】
ガス拡散法:
U-235とU-238のわずかな質量比による拡散速度の差異を利用した同位体分離法である。
気化した六フッ化ウランを隔壁の設けられた気室に送り出し、内部で拡散させる。
隔壁には数十Åの孔が無数に空いており、質量の小さいU-235の化合物がわずかに多く孔を通り抜けるため、
隔壁を通すことで元のガス流よりもわずかにU-235の比率が多い濃縮流を得ることができる。
拡散を一回行う場合の理想の分離係数は、実際には1.003程度になる。
(長所)
最も初期に生産実証されたウラン濃縮技術であるため工業実績が高い。
(短所)
低濃縮ウランを生成するにもカスケードを数百段以上組む必要があるため、消費電力、所要時間、ともに膨大になる。
(Wikipedia)
遠心分離法:
六フッ化ウランを高速回転中の遠心分離機に入れると、遠心力により重いU-238と軽いU-235とが、わずかに分離される。
その分離係数は遠心分離機の性能に左右されるが、分離された気体の六フッ化ウランを上手に取り出す方法である。
(長所)
遠心分離法はガス拡散法に比べ、分離係数が大きく電力消費量も少ない利点がある。
(短所)
遠心分離機は、回転胴を高周速で回転させるために製造面、運転面において高度な技術を要する。
(ATOMICA)
原子法:
現在研究開発中で、金属ウランを蒸発させて得られるウラン原子を用いる手法である。
ウラン原子蒸気のうちレーザー光によりU-235のみをイオン化し、これを電極に集めて濃縮ウランを得る。
(長所)
分離係数が特に大きく、効率よく軽水炉燃料用の低濃縮ウランが得られることが期待される。
(短所)
これまでの核燃料サイクルに組み込まれていない金属ウランを用いること、
蒸発部、回収部では高温で腐食性の強い液体ウランのハンドリングが必要なことなどが、不利な点である。
(ATOMICA)
イオン交換法:
化学法あるいは化学交換法とも言われる。
6価ウラン、4価ウランが共存する水溶液中では、4価ウラン中のU-235の比率が6価ウラン中のU-235の比率よりも僅かに大きくなる。
従って、酸化剤を満たしたイオン交換塔に、6価・4価ウランを含む溶液を注入してウランを酸化させながら吸着層を形成し、
これに還元剤を注入してウラン吸着層を移動させると、ウラン吸着層で酸化還元が繰り返され、
吸着層後端部ではウランが濃縮され、前端部ではウランが劣化する。
(長所)
湿式のため臨界安全上高濃縮ウランをつくれず、核拡散防止に適合するという特徴もある。
(短所)
濃縮に時間がかかる。
(ATOMICA)
(4) UF6の特性と取扱い上の注意点を述べよ。
【解答例】
ウラン燃料の成型加工用原料は、天然ウランの六フッ化ウラン、濃縮されたあとの濃縮六フッ化ウランおよび 六フッ化ウランから再転換された濃縮二酸化ウランである。 六フッ化ウランは、常温では固体で無色の結晶である。 56.5℃で昇華し気体になるので、ウランの同位体分離(ウラン濃縮)に用いられる。 酸素や空気とは反応しないで比較的安定であるが、水と激しく反応しフッ化水素を生ずる。 このフッ化水素は激しい腐食性をもっており、生体への毒性も極めて強い。 したがって、六フッ化ウランの輸送は通常、固体の状態で行う。 六フッ化ウラン用の容器やパッキングなどでは厳重な防湿と密封性が必要であり、 また容器自体の臨界安全管理、放射線遮へい、温度・圧力管理の設計もなされる。 (ATOMICA)
(5) ウラン濃縮施設における保障措置について、再処理施設をはじめとする他の核燃料サイクル施設や 原子炉施設と比べてその特徴を述べよ。
【解答例】
ウラン濃縮施設は、商業機密上および核不拡散上機微な情報の多い施設であるため、
保障措置については、処理能力が約1,000tSWU/年規模までのウラン濃縮施設に対する
保障措置の在り方を検討する目的で1979年に国際的規模のヘキサパータイト保障措置プロジェクトという
ワーキンググループが設けられ、2年間にわたり検討が行われた。
論議の中心は、カスケード区域内への立ち入り無しに保障措置の目的を達成できるか否かであった。
HSPでの検討の結果、ウラン濃縮施設の査察は、カスケード区域外と区域内の2区域に分類し、査察内容を整理した。
カスケード区域外での査察活動には、記録の確認、計量システムの評価、核物質の流れの検認および実在庫検認があり、
カスケード区域内の査察には、配管等の目視検認、配管内ウランの濃縮度を検認する非破壊測定技術等の
技術的手段および封印の適用を挙げている。
保障措置上のウラン濃縮度とは、
ウラン濃縮度=((233U+235U)重量/全ウラン重量)×100%
である。査察活動は大きく、以下の2つに分類される。
(1) 核物質が申告通りに工程内を流れ、在庫が申告通りであることの検認に必要な活動、
(2) 核物質の生産が申告された濃縮度の範囲(4~5%)以内であることの検認に必要な活動。
(ATOMICA)
第2問
次の文章はウラン燃料加工とMOX燃料加工の工程及び検査内容の相違点と共通点について述べたものである。 この文章について以下の問いに答えよ。
軽水炉用ウラン燃料加工とMOX燃料加工では、原料である核燃料物質の比放射能等の特性や 最小臨界量等の違いにより設備や内部被ばく管理、外部被ばく管理、臨界管理、保障措置及び核物質防護の内容は大きく異なる。 またA加工工程やB燃料検査項目についても両者にそれぞれ特有なものが存在する。
しかし、原料粉末の調整・成型-焼結・燃料棒の溶接密封・集合体組立といった基本的な加工の流れは同じである。
(1) 文中Aに関わり、軽水炉用ウラン燃料加工の工程にないMOX燃料加工に特有な工程にはどのようなものがあるか述べよ。
【解答例】
UO2ペレット製造のセラミック技術の延長としてMOXペレットは製造され、 その製造工程は粉末混合、粉末成型、焼結によるペレット製造、ペレットの被覆管への挿入による燃料要素製造、 燃料要素の組み込みによる集合体の完成と、ほぼ同じ工程の流れである。 特に燃料要素以降の工程は全く同じものである。 ただ、二酸化プルトニウム粉末と二酸化ウラン粉末を混ぜるというMOXに特有な工程が最初に追加されている。 この混合方法には粉末状態で混ぜる方法、ウラン・プルトニウムの硝酸溶液からの同時析出による方法などあるが、 何れも均一な分散と焼結後におけるプルトニウムスポットを小さくするよう努力が払われている。 (ATOMICA)
(2) 文中Bに関わり、軽水炉用ウラン燃料ペレットの検査項目にないMOX燃料ペレット特有の検査項目は何か、 また、当該検査にはどのような方法が用いられるか述べよ。
【解答例】
MOX燃料では、ペレット製造前の原料粉末の混合が不充分だと焼結時のプルトニウムとウランの固溶が進まず、 プルトニウム・リッチの相が残ることになる。これをプルトニウムスポットと読んでいる。
ペレット検査工程において、プルトニウムスポットの均一性、大きさをチェックする試験が行われることが、 ウラン酸化物燃料との違いである。 試験方法には、ペレットの表面を磨きα線に感じるフィルムを置いてプルトニウムからのα線を写真に捉えて、 大きさや均一性を検知するαオートラジオグラフィーが用いられている。
特に、我が国やフランスの高速炉用燃料では、それに加えて、X線粉末回折法により焼結ペレット中のウラン及び プルトニウムの二酸化物の回折ピークが完全に重なって固溶状態を示すようにならないと合格にしない といった厳重な検査法を併用している。 (ATOMICA)
(3) 文中Bに関わる燃料検査として、軽水炉用ウラン燃料棒(ガドリニア入り燃料は除く。)に ウラン濃縮度の異なるペレットが混入していないことを確認する検査が挙げられるが、 どのような検査方法が用いられるか。 検査原理についても簡単に述べよ。
【解答例】
newclears注: 「ウラン濃縮度の異なるペレットが混入していないことを確認する」ことに特化した検査方法については調べ切れていない。 以下に示すのは、一般的なウラン濃縮度の測定技術である。
質量分析:
原子または分子のイオンをその質量電荷比やエネルギーで分離して、イオンの数または複数のイオンの相対的割合を測定する方法である。
パッシブ・アッセイ:
235Uのα崩壊に伴う185.715keV γ線をγ線検出器によって計数して、試料のウラン濃縮度を求める、
いわゆるパッシブ・ガンマ法は、ある意味では、もっとも広く用いられている濃縮度測定法である。
アクチブ・アッセイ:
分析対象の核物質に放射線を投射して問いかけ、その応答として、核反応により生ずる放射線を測定することで
核物質を非破壊的に定量分析する方法を、アクチブ・アッセイと呼んでいる。
実際上、核分裂性物質が対象となるので、それを選択的に測定するために、中性子による核分裂反応を利用することが多い。
光学スペクトル法:
原子スペクトルを利用する同位体比測定の原理は、対象同位体に特有なスペクトル線が存在し、
それが他の同位体に属するスペクトル線によって妨害されないほど十分に分離されていれば良く、
この意味では通常の発光分光分析と変わるところはない。
(4) 燃料加工施設のフードにおいて、少量の核燃料物質を含む粉末から分析用試料を分取する作業を行いたい。 この作業を安全に行うためのフード開口部の風速等の前提条件について述べよ。 また、本作業を行う上での作業装備等安全管理上の留意点を4つ以上述べよ。
【解答例】
(高放射性物質取扱施設 設計マニュアル 第IV章 閉じ込め機構 第1節 フード より抜粋)
1.2 構造:
本体はステンレス鋼板等で箱型であり、前面にはスライド式のガラス等の透明な扉を設け、
この扉を1/3程度開口した状態で使用する例が多い。
1.3 設計上の留意点:
フード作業の安全を確保するためには、その内部を強制排気して開口部からの流入風速を
所定の値に維持することにより、放射性物質のフード外への散逸を防止するのが原則である。
したがって、フード本体及び排気系の設計にあたっては、流入風速が確実に維持されるように留意する必要がある。
開口部の流入風速は、一般に30 m/min以上 90 m/min未満とされている。
1.4 使用実績:
フードは国内外で各種放射性同位元素の取扱いに広く用いられており、核燃料施設においては、
ウラン、プルトニウムの分析作業に用いられている。
安全管理上の留意点:
- 半面マスクやゴム手袋、特殊作業衣を装備すること
- 装備の使用前点検、フィッティングテストなど適切な装着を確実にすること
- 装備が汚染した場合、汚染部位の拭き取りや固定(封じ込め)及びしめひもの締め付けの調整 といった措置を行うこと
- 取り扱う物質が破裂、飛散する恐れがあることを警戒し、必要となる設備、資機材や要員等を確認すること
参考:JAEAプルトニウム事故について(1)事故の概要とその原因
第3問
次の文章は再処理施設及び軽水炉用ウラン燃料の加工施設における水素の爆発について述べたものである。 この文章について以下の問いに答えよ。
再処理施設においては、重大事故に至るおそれのある事故の1つとして[①高レベル濃縮廃液]を扱う貯槽や [②?]を扱う貯槽において設備・装置等のA故障等が要因となって起こり得る[③蒸発乾固]により発生する 水素ガスの滞留に起因する爆発が着目される。
この事故は、多数の箇所で同時期に発生する可能性があること及び重大事故に至るまでの[④時間的]な余裕などを考慮して、 喪失した機能の回復、重大事故への進展の防止等の対応を図る必要がある。 この場合、恒設設備に比べB可搬型設備による対応の方が基本的に有効と言われている。
軽水炉用ウラン燃料加工施設においては、水素ガスを使用する焼結炉がC爆発事故防止を考慮すべき設備の1つである。 このため、設計製作段階で爆発防止あるいは爆発による影響を緩和するため、 着火源となる静電気除去を目的とした適切な接地を行ない、炉本体保護のための過加熱防止機構を設ける。 これに加え、炉内への空気の混入による爆発を防止するため、炉内の圧力は炉外より高く管理し、 圧力低下時等には水素ガスの供給を停止し、[⑤窒素]ガスを炉内に導入する等の安全機構を設ける。
さらに焼結炉を設置する部屋には、[⑥地震感知器]を設け、異常を検知した場合は、 焼結炉への水素ガス供給を停止するための[⑦緊急遮断弁]を設ける等の対策を講じる。 また、炉外への水素ガスの漏えいを防止するため、 炉の出口で排気されるガス中の水素を[⑧燃焼]させてから排気ダクトに排出する構造としている。
(1) 文章中の空欄に入る適切な語句を番号とともに記せ。
参考:福島第一原子力発電所における事故を踏まえた核燃料サイクル施設の安全性に関する総合的評価の結果について
(2) 常温常圧下で空気と混合した場合の水素の爆発下限界濃度は概ね約何vol%か述べよ。
【解答例】
空気と混合した可燃性ガスが着火によって爆発を起こす最低濃度を爆発下限界 (LEL: Lower Explosion Limit)、 最高濃度を爆発上限界 (UEL: Upper Explosion Limit) とそれぞれ呼ぶ。 水素 (H2) の場合、LELは4.0 vol%、UELは75.6 vol%。 (フィガロ技研株式会社、ガスに関する基礎知識)
(3) 文中下線部Aに関わる故障等にはどのような事象が想定されるか2つ以上述べよ。
【解答例】
冷却機能の喪失による高レベル濃縮廃液の沸騰。
(4) 文中下線部Bに関わる可搬型設備としてはどのようなものがあるか2つ以上述べよ。
【解答例】
空気圧縮機、圧力計、流量計、フィルタ、排風機、ダクト、発電機、水素濃度計。
以下、水素爆発に対する発生防止対策(日本原燃株式会社)より一部抜粋
- 機器及びセルの水素濃度を測定するために、可搬型水素濃度計を設置する。
- 塔槽類廃ガス処理設備の雰囲気を導出したセルの圧力を監視するため、可搬型セル内圧力計を設置する。
- セルに導出した塔槽類廃ガス処理設備の雰囲気を排気するため、可搬型フィルタ、可搬型排風機及び可搬型ダクトを接続する。
- 可搬型排風機により分離建屋換気設備のセル換気系統を排気するため、可搬型発電機からの給電ケーブルを接続(給電)し、可搬型排風機の起動準備をする。
- 発生防止対策または拡大防止対策実施後、セル内圧力計による指示値の上昇を確認したら可搬型排風機を起動する。
(5) 文中下線部Cに関わり、軽水炉用ウラン燃料加工施設の焼結炉の運転中にどのような故障が起こった場合に 爆発事故発生の可能性が生じるか2つ以上述べよ。
【解答例】
爆発事故の原因としては、焼結設備炉内の水素ガスが室内へ漏えいして空気と混合した場合、炉内へ空気が混入した場合、
及びその他異常事態での焼結設備の破損等により水素が漏えいした場合が考えられる。
下記により安全対策が講じられているので、関連する装置の故障が起こると爆発事故につながることになる。
- 焼結炉外に混合ガスが漏えいしないようにするため、オフガス配管出口で燃焼させてから排気ダクトに排出している。
- 焼結炉内への空気の混入による混合ガスの爆発を防止するため、焼結炉内で使用される混合ガスの圧力が低下すると 自動的に警報を発し、混合ガス供給を遮断して、窒素ガスを焼結炉内に導入する安全装置を設置している。
- 万一、焼結炉内の圧力が上昇しても安全弁により内圧を逃がす構造としている。
- 循環冷却水により、焼結炉の主要部の冷却を行っており、冷却水の圧力が低下した場合に、自動的に警報を発する機構を設けている。
- 混合ガスの焼結炉外への漏えいに備え、自動的に警報を発する水素ガス検知器を設置している。
- 焼結設備は電気加熱であり、電源の遮断により焼結炉内温度の過加熱を防ぐ機構を設けている。
(福島~事故を踏まえた核燃料サイクル施設の安全性に関する総合的評価の結果について)
焼結炉の運転中における水素ガス供給設備の故障に伴い、焼結炉内の水素ガス圧力が低下し、 かつ圧力計の故障により、窒素ガス自動切替インターロックが作動しなかった場合に、 工程室内の空気が焼結炉内に混入し、焼結炉の炉内爆発が発生する。 (新規制基準を踏まえた安全対策について、原子燃料工業株式会社 東海事業所)
(6) MOX燃料加工施設においても、焼結炉は爆発事故防止を考慮すべき設備である。 MOX燃料加工施設の焼結炉の構造や基本的な安全管理の方法は軽水炉用ウラン燃料加工施設の焼結炉とほぼ同様であるが、 相違する点もある。その相違点にはどのようなものがあるか2つ以上述べよ。
【解答例】
newclears注: 相違点については調べ切れていない。以下に示すのは、MOX燃料加工施設の焼結炉での水素爆発発生防止対策である。
焼結炉等での水素爆発の発生を防止するため、以下の対策を講ずる。
- 焼結炉等は、グリーンペレットを高温で焼結処理する装置である。
焼結炉等の炉内が異常な高温になると焼結炉等の閉じ込め機能が維持できなくなり、焼結炉等内に空気が混入し、 爆発に至るおそれがある。このため、焼結処理する温度に裕度を考慮し、これを熱的制限値として1800℃を設定する。 また、使用温度が熱的制限値(1800℃)を超えないように、温度制御機器により炉内の温度を制御する設計とする。 さらに、使用温度が熱的制限値を超えるおそれのある場合には、過加熱防止回路によりヒータ電源を自動で遮断する設計とする。 - 焼結炉等は、爆発を防止するため、溶接又は継手により空気が流入しにくい構造とする。
また、焼結炉等の水素・アルゴン混合ガスを受け入れる配管内に逆止弁を設置し、 水素・アルゴン混合ガスの配管が破断した場合は、水素・アルゴン混合ガスの供給圧力が低下することで 焼結炉等内への空気の流入を防止する設計とする。 炉内への空気の流入を監視する目的で酸素濃度計を設置する設計とする。 炉内への空気の流入が検知された場合、警報を発するような対応とともに、 空気が流入した設備のヒータ電源を自動で遮断し、不活性のアルゴンガスで掃気する設計とする。 - 炉体の冷却及び炉外への水素・アルゴン混合ガスの漏えい防止の措置を講ずることにより、爆発の発生を防止する。
- 焼結炉等の排ガスは、水素濃度を低下させるために、排ガス処理装置又は小規模焼結炉排ガス処理装置により
当該グローブボックス内の雰囲気で希釈し、排気する設計とする。 排ガスは、焼結炉等から排気される排ガス量とグローブボックスの給気量の比により、爆発下限値以下になるよう希釈する。
第4問
再処理施設では様々な放射性廃棄物が発生し、それぞれに対して適切な処理を行っている。 通常運転時に発生する気体廃棄物に関する以下の問いに答えよ。
(1) 再処理施設において気体廃棄物となる主な放射性物質(元素又は同位体)を4つ挙げよ。
【解答例】
気体廃棄物は、主として剪断・溶解工程において燃料ピンのプレナム部に貯留していたヨウ素、希ガス等の放射性ガスである。 核燃料中に核分裂生成物として生成する気体はモル比で80%以上がXeであるが、半減期が短い(Xe-133半減期5.3日)ため 再処理開始までの6か月程度の冷却期間中にほとんど減衰し、Kr-85、トリチウムが主な核種となる。 I-131(半減期8.02日)などの短半減期放射性ヨウ素は使用済燃料プールでの冷却期間中に殆ど減衰し消滅する。 (atomica 再処理廃棄物の特性, 放射性気体)
(2) 上記で挙げた気体廃棄物となる元素のうち2つについて、国内外の再処理工場で行われている処理法を説明せよ。
【解答例】
newclears注: 再処理工場で実績があるかどうかは調べがついていない。 以下に示すのは放射性気体廃棄物の一般論である。(atomicaより)
ろ過法: プレフィルタ、アブソリュート・フィルタを通し、気体中に含まれるダストを処理する。 ダスト、微粒子の除去に効果がある。 (別解) 焼結フィルタやHEPAフィルタでろ過後、アルカリ液等で洗浄し、 さらにHEPAフィルタとヨウ素除去に効果のある銀吸着剤で処理を行っている。
減衰法: タンクに貯留して放射能を減衰処理する。減衰管を通す処理方法もある。 放射能が少量の場合、短半減期の気体処理に適する。 沸騰水型軽水炉に採用されている希ガス・ホールドアップ装置は、活性炭を用いて、 Xe, Kr等の希ガスを吸着させながら減衰させてゆく方法である。
希釈法: 大量の空気にまぜて薄め、放射能濃度を許容レベル以下にする。 特別の処理を必要とせず、運転経費が安い。
(3) 再処理施設内の工程のうち気体廃棄物の発生量が最も多い工程を挙げよ。
【解答例】
再処理施設から発生する気体廃棄物は、溶解槽、廃液貯槽等の槽類換気系排気の他、 燃料剪断装置、セル換気系、建屋換気系からの排気に含まれるものである。 この内、最も放射能レベルの高いものは使用済燃料剪断時の剪断オフガスおよび溶解時の溶解オフガスであり、 ヨウ素、希ガスが含まれている。 剪断工程では、燃料棒内にたまっていたガス状FPが放出され、また溶解工程では溶解時に残っていた ガス状FPや硝酸との溶解反応により揮発性化合物となったFPが放出される。 (atomica 再処理施設からの放射性廃棄物の処理)
年間放出基準は、 Kr-85 ~107 GBq, H-3 ~105 GBq, C-14 ~103 GBq, I-129 ~100 GBq とKr-85が桁違いに大きく、Kr-85が多く放出されるのは使用済燃料の剪断工程及び溶解工程である。
(4)
以下の正しいものに〇、正しくないものに×をつけよ。
① 気体廃棄物とは、気体の放射性核種を含む空気である。
② 気体廃棄物は液体廃棄物と同様、放出基準値を下回る値で放出される設計となっている。
③ 気体廃棄物は、すべてフィルターや吸着材によってトラップされて除去される。
④ 再処理施設では燃料を溶解して処理するため原子力発電所と比べて大量の気体廃棄物が発生する。
⑤ 同じ元素でも気体廃棄物と液体廃棄物の両方に含まれるものがある。
【解答例】
① 気体廃棄物とは、気体の放射性核種を含む空気である。 ×。 空気に限らず、プロセス排ガスや放射性の微粒子を含んだエアロゾルも気体廃棄物として扱う。
② 気体廃棄物は液体廃棄物と同様、放出基準値を下回る値で放出される設計となっている。 ○。
③ 気体廃棄物は、すべてフィルターや吸着材によってトラップされて除去される。 ×。 特に希ガスは反応性が低くトラップするのが難しいが、希釈して基準値を下回れば放出できる。
④ 再処理施設では燃料を溶解して処理するため原子力発電所と比べて大量の気体廃棄物が発生する。 ×。 再処理施設の方が大量であるというデータは見当たらない。 原子力発電所から放出される気体廃棄物は、BWRでは主に復水器空気抽出器排ガスであり、 PWRでは体積制御タンクのパージガスおよび各機器のベントガスである。(atomica)
⑤ 同じ元素でも気体廃棄物と液体廃棄物の両方に含まれるものがある。 ○。 分かりやすいものでは、トリチウムがそうである。
第5問
次の文章は核燃料施設における臨界管理の基本事項について述べたものである。 この文章について以下の問いに答えよ。
再処理施設や核燃料加工施設において臨界安全管理を必要とする設備では、 [①質量]管理、A寸法形状管理、[②濃度]管理、[③同位体組成]管理、 B中性子吸収材管理、減速材管理及びこれらの組み合わせにより、 [④単一ユニット]として臨界を防止する設計が行われる。
さらに[⑤複数ユニット]については、[④単一ユニット]相互間の適切な配置と耐震性確保による配置維持、 [④単一ユニット]相互間における中性子吸収材の使用やこれらの組み合わせにより臨界を防止する設計が行われる。 その際、施設の臨界安全設計はC二重偶発性の原則の思想に基づいて実施される。
なお、ともにプルトニウムを扱う施設であるが、一般的にD再処理施設の方がMOX燃料加工施設に比べ、 より厳しい臨界安全設計と管理が要求される。
(1) 文章中の空欄に入る適切な語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(2) 文中Aに関わる寸法形状管理とはどのような原理で臨界を防止する管理方法か、貯槽を例に挙げて説明せよ。
【解答例】
核分裂性物質を含む物質又はそれを入れる容器の形状寸法がある値以上にならないように制限する管理のことを言う。
同じ量の核分裂物質でも、その形状により臨界に達する場合と達しない場合がある。
一般に核分裂物質の形状が細長かったり、薄い板状であれば、内部で発生する中性子の多くが外部へ飛び出してしまい、
核分裂反応に寄与しなくなるため、臨界に達しなくなる。
逆に物質の体積当たり最小の表面積となる球状の時、臨界量は最も少なくなる。
また、同じ形状であっても、体積が大きくなるにつれて、体積当たり表面積は小さくなり、
外部へ飛び出す中性子が減少するため、臨界しやすくなる。
貯槽の場合、そのような形状や寸法を設計することで、想定外の核分裂性物質を含む溶液が流入したとしても
臨界にならないように管理する方法である。
特に、どのような濃度になろうとも臨界にならないようにその形状を制限する安全設計を
全濃度安全形状寸法管理という。
(参考文献:松岡伸吾、六ケ所再処理施設の安全設計と安全評価、日本原子力学会誌。
Wikipedia 臨界量の項。)
(3) 文中Bに関わる中性子吸収材にはどのようなものがあるか2つ以上述べよ。
【解答例】
中性子の吸収反応が容易に起こる物質を中性子吸収材という。 たとえば、ホウ素(B)、カドミウム(Cd)、キセノン(Xe)、ハフニウム(Hf)、などの元素、 またはこれらを含む物質である。 ガドリニウム(Gd)も、中性子吸収断面積が非常に大きいので、原子炉の制御材料に用いられる。 (atomica)
具体例としては、ホウ酸水、炭化ホウ素、制御棒(カドミウム合金他)など。
(4) 文中Cに関わる二重偶発性の原則とはどのようなものか述べよ。
【解答例】 二重偶発性の原則とは、 「起こるとは考えられない独立した二つ以上の異常が同時に起こらない限り臨界に達しない」 ということ。 (小林岩夫、ウラン加工指針の改訂(案)、日本原子力学会誌)
(5) 文中Dに関わり、再処理施設の方がMOX燃料加工施設に比べてより厳しい臨界安全管理が要求される理由を述べよ。
未解答・・・
(6) 再処理施設とMOX燃料加工施設で万が一、臨界事故が起きた場合、事故の特徴の違いを述べよ。
未解答・・・
第6問
核燃料物質等の取扱いに関して、次の事項を簡潔に説明せよ。
(1) 保障措置の目的
(2) PUREX法
(3) 再処理施設で発生する高レベル放射性廃液はガラス固化される。
このガラス固化体の最終処分法について、我が国で対応が進められている方法について。
(4) 核セキュリティと核物質防護の違い
(5) 核燃料輸送に係る「特別の試験」の内容及び試験適用対象輸送物
【解答例】
(1) 保障措置の目的:
保障措置の目標(目的)は、有意量の核物質が平和的な原子力活動から核兵器その他の核爆発装置の製造のため
又は不明な目的のために転用されることを適時に探知することおよび早期探知の危惧を与えることにより
そのような転用を阻止することである。
(atomica)
(2) PUREX法:
PUREX法は、研究開発進捗度が高い再処理技術のひとつである。
高除染でウラン及びプルトニウムを個別に回収することを目的に開発された溶媒抽出プロセスであり、
抽出剤としてリン酸トリブチル(TBP)を使用する。
使用済燃料溶解液よりウラン、プルトニウムを共抽出後、還元剤を用いてウランとプルトニウムを分離し、
精製することにより高除染のウラン溶液及びプルトニウム溶液を個別に回収している。
現時点において最も完成度の高い再処理技術であるが、将来、核拡散抵抗性の更なる向上に関する
国際的な制約の強化の影響を受ける可能性がある。
(核燃料サイクル分野の今後の展開について、第28回原子力委員会資料第1-1号、平成21年)
(3) ガラス固化体の最終処分法:
ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)は、放射能のレベルが高いため、
人間の生活環境に影響を及ぼさないよう長期間にわたって確実に隔離する必要がある。
これまでに発生したガラス固化体は、冷却するため、青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)
「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設」で30~50年間貯蔵する。
その後、人間の生活環境に影響を及ぼさない、地下300メートルより深い安定した地層中に処分(地層処分)
する予定である。
この処分方法は、地下深部の地層が本来持っている「物質を閉じ込める力」を利用したもので、
日本を含め国際的にも最も好ましい共通の考え方となっている。
(高レベル放射性廃棄物の処理処分、日本原子力発電株式会社)
(4) 核セキュリティと核物質防護の違い:
核物質防護とは、原子力施設への妨害破壊行為及び使用、貯蔵、輸送中の核物質の盗取や妨害破壊行為から
核物質や施設を守るための対策である。
施設に対する防護措置の例としては、防護区域等の設定、監視や巡回の実施、防護設備・機器の設置、
施設や区域への出入管理等がある。
一方、核セキュリティとは、核物質のみならず、放射性同位元素を含む全ての放射性物質を対象とした
核テロ対策を含む防護措置である。
具体的には、テロリスト等による核物質や放射線源の悪用が想定される
(1) 核兵器の盗取、
(2) 盗取された核物質を用いた核爆発装置の製造、
(3) 放射性物質の発散装置の製造、
(4) 原子力施設や放射性物質の輸送等に対する妨害破壊行為
の四つの脅威が現実のものとならないよう取られる措置を言う。
補足:2001年9月11日に米国内で航空機等を用いた4つのテロ事件が同時多発的に発生した。 航空機が使用された史上最大規模のテロ事件であり、全世界に衝撃を与えた。 この事件が契機となり、これまで使用されていた「核物質防護」から「核セキュリティ」 という言葉が使用されるようになった。 核物質に着目した場合は、核物質防護という言葉が使用される。 (核物質防護、核セキュリティとは、公益財団法人 核物質管理センター)
(5) 核燃料輸送に係る「特別の試験」の内容及び試験適用対象輸送物:
放射性収納物の放射能量や物理的形態に従って、
L型輸送物、IP型輸送物、A型輸送物、B型輸送物
と分類されるが、A型には一般の試験条件が、B型(核分裂性)輸送物には一般と特別の試験条件が課せられる。
特別の試験には落下試験、耐火試験、浸漬試験があり、その内容は以下の通り。
(atomica)
試験名 | 試験条件 |
---|---|
落下試験Ⅰ | 9 mの高さから落下 |
落下試験Ⅱ | 1 mの高さから丸棒上に落下 |
耐火試験 | 800℃で30分 |
浸漬試験(核分裂性輸送物) | 深さ0.9 mの水中に8時間 |
浸漬試験(BM型輸送物) | 深さ15 mの水中に8時間 |
浸漬試験(A2値の10万倍を超える放射能) | 深さ200 mの水中に1時間 |
第51回 核燃料物質の化学的性質及び物理的性質
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第51回 核燃料取扱主任者試験 核燃料物質の化学的性質及び物理的性質
第1問
次の文章は、ウラン、トリウム、プルトニウムの同位体又は化合物について述べたものである。 文章中の空欄に入る適切な語句、数値、化学式又は核種を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には、同じ語句、数値、化学式又は核種が入る。
(1) 天然ウランに含まれるウラン同位体のうち、アルファ崩壊の半減期が最も短いのは[①U-234]である。 U-233は天然には存在せず、天然のトリウム同位体である[②Th-232]を原子炉で照射すると 中性子捕獲と[③ベータ崩壊]により生成する。 U-233のアルファ崩壊の半減期は、[①U-234]よりも[④短い]。
(2) 金属ウランを硝酸に溶解した際にウランの最も安定な価数は[⑤6価]であり、 イオンの化学式は[⑥UO22+]と表され、名称を[⑦ウラニル]イオンという。 一方、トリウムの硝酸溶解液中で安定なイオンの化学式は、[⑧Th4+]である。
newclears注: 硝酸中で、6価のウラニルイオン(UO22+)が、 4価のウラナスイオン(U4)よりも安定であるという明確な証拠が見つからない。
(3) ウランの硝酸塩水溶液にアンモニア水を添加すると、 [⑨黄]色の重ウラン酸アンモニウム(ADU)の沈殿が得られる。 ADUの化学式は[⑩(NH4)2U2O7]と表される。 ADUを空気中800℃程度で加熱すると[⑪三酸化ウラン]が得られ、 さらに水素気流中同温度で加熱すると[⑫二酸化ウラン]が得られる。
newclears注:
- 2UO2(NO3)2 + 6NH3 + 3H2O → (NH4)2U2O7 + 4NH4NO3
- (NH4)2U2O7 → 2UO3 + 2NH3 + H2O
- (NH4)2U2O7 + H2 → 2UO2 + 2NH3 + 3H2O
(4) UO2をUF6に転換する際には、 まずUO2と[⑬フッ化水素]ガスを反応させてUF4を得る。 固体のUF4の外観は[⑭緑]色である。 次にUF4と[⑮フッ素]ガスを反応させてUF6が得られる。 1気圧、常温でUF6は固体であるが、[⑯56.5]℃で昇華して気体となる。
newclears注:
- UO2 + 4HF → UF4 + 2H2O
- UF4 + F2 → UF6
(5) 取り出し燃焼度45 GWd/tHMの軽水炉使用済UO2燃料には、 金属元素1 tあたり約[⑰10]kgのPuが含まれる。 質量数238から242までのプルトニウム同位体のうち、 熱中性子に対する核分裂断面積が大きいのは[⑱Pu-239]と[⑲Pu-241]である。 また、プルトニウム同位体組成において含有率が二番目に多いのは[⑳Pu-240]である。
参考資料: 鈴木達也(長岡技術科学大学)、使用済み燃料の処理・処分の観点からの核燃料サイクルにおける高速炉の意義と高速炉使用済み燃料再処理の技術動向と課題 使用済燃料の組成.png
第2問
UO2の不定比組成領域を表すUO2+x(x≧0)に関して、以下の問いに答えよ。
(1) UO2の単位格子に過剰の酸素原子1個が格子間原子として入り得るとすると、 xのとり得る最大値はいくらか記せ。
未解答・・・
(2) 高温で平衡状態にあるUO2+x のx 値は、保持温度T(K)と標準状態1 atmに対す る酸素分圧PO2(atm)の関数の値により一義的に定まる。 UO2+xの酸化状態を記述する指標となるこの関数の名称を記せ。 また、この関数を気体定数R、温度T、酸素分圧PO2を用いて式で記せ。
【解答例】
酸素ポテンシャル
newclears注: 正直なところ、酸素ポテンシャルについての理解が不十分なので これが正答かどうかは自信がない。酸素ポテンシャルとは何なのだ?
(3) 図1は、1400℃における酸素分圧(常用対数値)とx値の関係を表すグラフである。 同温度において、UO2をアルゴンと酸素の混合気流(大気圧、0.1 体積%O2) 中に保持した場合、平衡状態でO/U比はいくらになるか、小数点以下2桁まで数値を記せ。
未解答・・・
(4) 図1において、同じ酸素分圧のまま保持温度を下げると、O/U比は増大するか、減少するか、 簡潔な理由とともに記せ。
【解答例】 同じ酸素分圧のまま保持温度を下げると、O/U比は増大する。 (参考文献:酸素分圧の制御・測定と熱力学的性質、辻利秀)
(5) x値の増大とともに、以下の①から④の物性値はそれぞれ増大するか、減少するか記せ。
①格子定数 ②熱伝導率 ③電気伝導率 ④熱クリープ速度
【解答例】
①格子定数
未解答・・・
②熱伝導率
O/U比が増加すると過剰酸素がフォノン伝導に対する不純物散乱中心としてはたらくため、
熱伝導率は急激に減少する。
(第35回性質第4問)
③電気伝導率
電気伝導度はO/U比の増加に伴って増加する。
(内藤奎爾、核燃料セラミックスの高温熱伝導度、窯業協会誌75 6 1967)
補足:金属においては熱伝導率と電気伝導率には正の相関がある。 しかし金属以外の物質では、一概に相関があると言えない。 これは、熱伝導は自由電子による熱の伝搬と格子振動による熱の伝搬に分かれ、 金属以外では自由電子がそれほど多くないことが理由と言える (参考)。 UO2燃料はセラミック燃料である。
④熱クリープ速度
O/U比が増大するとU空格子点が増大し、U原子の拡散が促進されるため、
クリープ速度は増大する。
(第35回性質第4問)
図1 1400℃における酸素分圧とUO2+xのx値の関係
図1 の数値データ出典: K. Hagemark and M. Broli, “Equilibrium oxygen pressure over the nonstoichiometric uranium oxides UO2+x and U3O8-z at higher temperatures,” Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry, vol. 28, pp. 2837-2850 (1966).
第3問
軽水炉において、二酸化ウラン(UO2)ペレットでは、 燃焼の進行とともにその形態や組織が変化し、燃料のふるまいに影響を及ぼす。 このようなペレットの形態や組織の変化を総称して、リストラクチャリングと呼ぶ。 リストラクチャリングに関する以下の問いに答えよ。
(1) リストラクチャリングに含まれる具体的な現象を4つ答えよ。
【解答例】
UO2ペレットには燃焼の進行とともに[ペレットの割れ]と [並び換え(リロケーション)]、 および[粒成長]が起こり、ペレットの形態や組織が変化する。 これを総称してリストラクチャリングと呼ぶ。 このほかに、照射欠陥の蓄積に起因した[リム組織の形成]も広い意味ではリストラクチャリングという。
(2) リストラクチャリングが発生するメカニズムを、150字程度で述べよ。
【解答例】
照射中、UO2ペレットは核分裂により発熱する。
一方、UO2の熱伝導率は高くないことから、
ペレット内には大きな[温度分布]が生じる。
この[温度分布]にしたがい当然
[熱膨張]が発生し、
円柱状のペレットの中心部が高温で周囲が低温であるため、
[熱膨張]を拘束する[熱応力]が発生することになる。
この[熱応力]により、ペレット内に割れが発生する。
ペレットの表面が破壊応力に達するに必要な線出力は約33 W/cmと評価されており、
ペレットは照射開始と同時に割れ、その割れ数は線出力とともに増加することになる。
ペレット中心温度が1,800℃の場合、温度勾配に沿った気孔の移動によって[柱状晶]領域が形成される。
一旦ペレットに発生した割れは、1,250~1,500℃以上の高温領域では消滅(ヒーリング)する。
割れが消滅した領域でも、出力下降時にUO2の熱収縮による引張応力が発生し
再度ペレットに周方向の割れが発生する。
照射初期に割れたペレットの破片は、被覆管とペレットのギャップ部へ移動し、
[リロケーション]が起こる。
ペレット内に生じた割れ空間は、被覆管とペレットのギャップ部が詰まることによって相殺される形となる。
ギャップの変化は、UO2ペレットの温度やPCIに大きな影響を与える因子となる。
(太字部分で134字。出典:atomica 燃料ペレットの照射挙動に関する研究)
(3) 下の図中、右側に拡大した図は、リストラクチャリングが生じたUO2 ペレットの 断面組織の概略を示したものである。この図中に示された領域ア、領域イ、領域ウの 名称を答えよ。解答は、例のように示すこと。
newclears注: 著作権上の都合により、問題に用いられている図が省略されてしまっている。 照射前のUO2ペレット断面組織は全面が均質な組織であるが、 高出力(線出力950 W/cm、燃焼度680 MWd/t)で照射されたUO2ペレットの断面組織は どのようなものになるか? …という問題。 おそらく、等軸晶、柱状晶、燃料中心空孔を問う問題だろう。
【出典】 ・(公財)原子力安全研究協会 実務テキストシリーズNo. 3、軽水炉燃料のふるまい ・H.Stehle, Atomwirtschaft Atomteck. , 15, 450(1970)
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_06-01-01-01.html
第4問
軽水炉の通常運転時、燃料被覆管の外面は、高温高圧の水と反応し、 ジルコニウムが酸化されるとともに水素が発生する。 発生した水素の一部は被覆管内部に吸収されるが、その量が固溶限を超えると、 ジルコニウム水素化物が析出するようになる。 ジルコニウム水素化物には、水素含有量の違いによって、結晶構造の異なるδ相とε相が存在する。 ここで、以下の問いに答えよ。
(1) 下線で示した反応を、化学式で表記せよ。
【解答例】
Zr + 2H2O → ZrO2 + 2H2
(2) δ相ジルコニウム水素化物とε相ジルコニウム水素化物のそれぞれについて、 室温におけるおおよその水素含有量を、H/Zr(原子比)で答えよ。
未解答・・・
(3) δ相ジルコニウム水素化物の結晶構造について述べた以下の文章中の空欄に入る語句を答えよ。
δ相ジルコニウム水素化物は、[ア 蛍石]型の結晶構造をとる。 この構造は、ジルコニウム原子が構成する[イ 面心立方]格子内に、 水素原子が構成する[ウ 単純立方]格子が含まれるものである。
参考:松永純治,Measurements on residual strain of zirconium hydride, 2014B0298, J-PARC MLF Experimental Report
(4) 被覆管中に析出するジルコニウム水素化物が、被覆管に対して及ぼす影響を100字程度で述べよ。
【解答例】
燃料棒の製造段階で燃料棒内に水分が混入していると、水分が被覆管内表面と局所的に反応して水素化物を形成する。 水素化物は非常に脆いので、水素化物形成の成長によって被覆管が破損することがある。
補足: 1960年代~70年代においては、水素化は燃料棒破損の大きな要因のひとつだったが、 ペレット製造にあたり、ペレット密度を上げて吸蔵する水分を少なくして、ペレット充填時の乾燥を充分に行うことで、 これ以後この現象は発生していない。
また、燃料の高燃焼度化における課題としても、水素脆化は被覆管脆性破損の重要な因子となり得る。 ジルカロイ燃料被覆管においては、燃焼度を伸長させた場合、水側腐食量の増加が見込まれる。 水側腐食によって生じた水素はジルカロイに吸収されるが、溶解度が小さいために水素化物として析出しジルカロイの延性を低下させる。 高燃焼度ではさらに中性子照射量の増加に伴う照射欠陥も増加するため、 水素化物は照射欠陥と相まって脆化を促進させる可能性もある。
参考:atomica 軽水炉(PWR)燃料の損傷, 永瀬文久他,ジルコニウム合金の水素脆化に関する研究の現状と課題,JAERI-Review 95-012
第5問
核燃料とアクチノイド元素に関して、以下の問いに答えよ。
(1) 核燃料を原子炉で使用すると、運転終了後も熱が発生する。 ①この熱は何と呼ばれているか。 ②その熱はどのようなメカニズムにより発生するか。 ③その発熱量は1年以上運転した原子炉(ウラン酸化物燃料の軽水炉)の停止1秒後、 1日後、30日後、1年後に、原子炉運転時の発熱量に比べてどの程度になるか。 百分率(%)、有効数字1桁で答えよ。
【解答例】
① 崩壊熱
② 放射性物質はα線、β線、あるいはγ線などの放射線を放出して崩壊するが、 このエネルギーは周辺の物質に吸収されて、最終的には熱に代わる。 したがって原子炉の運転を停止しても、核分裂生成物のうち放射性の核種が崩壊熱を放出する。 (atomica)
③ ※原子炉運転時の発熱量を100%としたとき。 出典:原子力産業新聞2011年3月17日第2566号,日本原子力産業協会。 1年後の発熱量はnewclears独自調査による。
経過時間 | 発熱量※ |
---|---|
1秒 | 6% |
1時間 | 2% |
1日 | 0.7% |
30日 | 0.2% |
1年 | 0.02% |
図:吉田正,軽水炉燃料崩壊熱のふるまい,日本原子力学会誌 Vol. 53, No. 8 (2011) (2) 原子炉運転中の二酸化ウラン燃料中に生成する次の元素(Kr、Ru、Nd、I、Ce、Np、Ba、Xe)を、 ①気体状のもの、②揮発性のもの、③固溶体としてペレット中に存在するもの、 ④金属析出物をつくってペレット中に存在するもの、⑤別の酸化物相をつくってペレット中に存在するもの に分けよ。
【解答例】 全ての元素については調べ切れていない。一般論を以下に転載する。 出典:岩田修一,原子炉内で起こる化学反応,化学 66 (2011) 6
〈~103MWD/MTM〉
- MOBILE F.P.: Xe, Kr, Cs, I, Te
- SOLID F.P.: Ba, Zr, Mo, Ru, Nd
- 不揮発性の固溶核分裂生成物が二つの相、すなわち金属(Mo, Ru, Rh, Pd)と高温領域では(Ba, Sr)ZrO3 とに集まり始める。 Ndと過剰Zrは固溶して燃料とともに残存する。
- 揮発性(可動性)の核分裂生成物は細孔移動、開いているチャネル、およびクラックを通じて中心、燃料被覆管ギャップに掃かれる。 反応性のある揮発性のもの(Cs, I, Te)はたがいに影響し、低温領域に移動するあいだは燃料と相互分布する。
〈~104MWD/MTM〉
- 揮発性の核分裂生成物は径方向に低温部に移動しギャップに、軸方向の移動によりUO2ブランケットに蓄積する。 金属製の核分裂生成物は中心空洞に集積する。
- IとTeがヨウ素イオン、テルルイオンとしてCsと結合する。
〈~105MWD/MTM〉
- Cs, Te, Iが燃料と被覆管のギャップで濃縮される。Moも存在する可能性。
(3) アクチノイド元素はPuあたりを境として、その原子番号から大きく2つのグループに分けることができる。 このことに関して、次の問いに答えよ。
① 小さな原子番号のアクチノイド元素と大きな原子番号のアクチノイド元素の例を 元素記号でそれぞれ3つずつ記せ。ただしPuを除く。
【解答例】 アクチノイド一覧。上段 原子番号,下段 元素記号
89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 | 101 | 102 | 103 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ac | Th | Pa | U | Np | Pu | Am | Cm | Bk | Cf | Es | Fm | Md | No | Lr |
語呂合わせ(出典:鉄平塾)
灰汁取りパスタが売らんナポリのプルッとアメリカできゅうりをバクリと狩り、愛してる不満でノーロール
② 小さな原子番号のアクチノイド元素と大きな原子番号のアクチノイド元素の 最も安定な原子価における相違点について説明せよ。
【解答例】
アクチノイドは、5f軌道の電子が占有され始める元素のシリーズで、 4f軌道が詰まり始めるランタノイドと化学的性質が類似する。 ただし電子の詰まり方はランタノイドとはやや異なり、 アメリシウムより軽い方の元素では6d軌道にも電子が入り込む。 そのため、ランタノイド及びアメリシウムより重いアクチノイドでは典型的な原子価が3価であるのに対して、 アメリシウムより軽い方では3-6価の原子価を取る。 (Wikipedia)
第51回 放射線の測定及び放射線障害の防止に関する技術
この記事は、試験問題に対してnewclearsが独自に調査して解答したものです。解答の正しさは保証しません。
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第51回 核燃料取扱主任者試験 放射線の測定及び放射線障害の防止に関する技術
第1問
次の文章の空欄の部分に入る適切な語句を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には同じ語句が入る。
(1) 軌道を回っている電子が[①原子核]に捕獲される現象を[②電子]捕獲という。 [②電子]捕獲では、[①原子核]の[③中性子]が[④陽子]と[⑤電子]に変化する。 これを式で表すと、[⑥β+]壊変の式で、陽電子の項を右辺から左辺に移項させたものに相当する。
AZX + e- → AZ-1Y + ν [②電子]捕獲
※νは、元の問題文ではνにオーバーラインがついた「反ニュートリノ」になっているが、 電子捕獲ではただの「ニュートリノ」のはずである。 マヨラナ? だとしてもオーバーラインは不要だろ。
[②電子]捕獲では主に[⑦K]殻の軌道の電子が捕獲される。 [⑦K]殻の軌道にできた[⑧空孔]を埋めるために[⑨外側]の軌道から電子が移ってくるが、 その際にそれぞれの軌道の[⑩束縛]エネルギーに差があるために、その差のエネルギーの[⑪特性]X線が放出されることになる。
(2) [①原子核]では[③中性子]と[④陽子]が、核種に固有なエネルギーの軌道に収まっている。 通常、[①原子核]では最も低いエネルギーの軌道から収まっていることを[⑫基底]状態にあるという。
(3) [⑫基底]状態に対して、核子が[⑫基底]状態よりエネルギーが[⑬高い]軌道にあるとき、 [①原子核]は不安定な[⑭励起]状態にあるという。 この不安定な状態からエネルギーを放出して[⑫基底]状態となるために、 [⑮γ]線を放出する場合と、[②電子]に[⑯運動]エネルギーを与えて放出する場合の[⑰内部]転換がある。
(4) 希に[⑭励起]状態のまま比較的[⑱安定]な状態でとどまっていることがあり、 このような[⑭励起]状態にある[①原子核]を[⑲核異性体]と呼び、 [⑮γ]線を放出して別なエネルギー状態に移ることを[⑳核異性体転移]という。
第2問
次の文章の空欄の部分に入る適切な語句を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には同じ語句が入る。
(1) γ線のスペクトル測定には、高純度の[①ゲルマニウム半導体]スペクトロメータや[②NaI(Tl)]シンチレーション・スペクトロメータが用いられる。 分解能は[①ゲルマニウム半導体]検出器が優れている。 [③検出]効率は[②NaI(Tl)]シンチレーション・スペクトロメータが有利である。
(2) γ線がそのエネルギーを失う効果としては、[④光電]効果、[⑤コンプトン]効果、[⑥電子対生成]がある。 検出器の[⑦有感]部分にγ線が入射すると、[④光電]効果、[⑤コンプトン]効果、[⑥電子対生成]の[⑧電離]作用により、 電荷キャリアが作られ、出力信号となる。 仮に単一エネルギーを持つγ線が[⑦有感]部分に入射しても、[⑧電離]作用の種類や[⑨入射]角などにより、 出力パルスの[⑩高さ]が異なるので複雑なスペクトルを得る。
(3) [⑪α]線のエネルギーは4~7 MeVの範囲にあり、エネルギー範囲が数桁に及ぶ[⑫β]線やγ線とは異なる。 [⑪α]線の[⑬飛程]は空気中で5 cm程度であり、 試料を厚くすると、[⑭自己]吸収により、[⑪α]線のエネルギーの一部が試料中で失われる。 このため[⑭自己]吸収を避けるために、蒸着などによりごく[⑮薄]い測定試料とし、測定する際は、 空気層による吸収を避けるために真空中で行い、検出器の入射窓を[⑮薄]くするか、 内部試料計数法を用いるなどの手段をとる必要がある。
(4) [⑫β]線放出核種を取り扱う作業では、厚さ1~1.5 cm程度の透明なアクリル板が[⑫β]線の遮へい用として用いられる。 このとき重要なのは、[⑫β]線のエネルギーが高くなると、遮へいされる際に[⑯制動]放射線が発生し、 その放出割合は、[⑫β]線のエネルギー及び遮へい物の[⑰原子番号]が大きくなるにつれて増加する。 このため発生した[⑯制動]放射線を遮へいするには、 アクリル板の外側をコンクリートや[⑱鉛]などの高[⑰原子番号]の物質で覆う必要がある。
(5) 液体シンチレーションカウンタの特徴としては、 トルエンなどの溶媒中にPPOなどの溶質を溶かし込んだ有機シンチレータを用いている。 これは測定試料を直接シンチレータに溶かし込むため、幾何学的検出効率は100%であり、 [⑫β]線測定の際に線源による[⑭自己]吸収、[⑲後方]散乱、検出器の入射窓による吸収などの影響はなくなる。 よって[⑳H-3]やC-14の低エネルギーの[⑫β]線計測には適している。
第3問
次の文章の空欄の部分に入る適切な語句又は数値を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には同じ語句又は数値が入る。
(1) フリッケ線量計は100 eV吸収されると約15.6個のFe2+が[①酸化]される。
(2) 水の質量エネルギー吸収係数は広いエネルギー範囲で空気の約[②1.1]倍である。 ※アイソトープ手帳11版p.155の値を読み取った結果。
(3) 放射線測定器には、それぞれ固有の感度があるため、[③校正]定数が与えられている。 [③校正]定数は測定器の[④経年変化]によって変化するおそれがあるため、定期的に求めておく必要がある。
(4) 放射性物質による表面汚染には、[⑤固着]性と[⑥遊離]性のものがある。 [⑤固着]性の場合は、[⑦外部]被ばくが問題となり、 一方[⑥遊離]性の場合は、呼吸などからの[⑧内部]被ばくが問題となる。 サーベイメータを用いて、これらの表面汚染を測定する場合は、一般的には直接法や間接法を用いる。 床汚染を引き起こした放射性物質が短半減期である場合、汚染箇所を[⑨明示]し、ビニールシートで養生し、 放射性物質自身の[⑩減衰]を待つのも効果的である。
第4問
内部被ばくに関する以下の問いに答えよ。
(1) 以下に示した放射性核種について、体内において最も集積される部位を基準として、 (a)から(d)に示した臓器別に分類せよ。
【放射性核種】 |
---|
H-3, Cs-137, I-131, Sr-90, Am-241, K-40, Ca-45 |
(a)全身
(b)筋肉
(c)甲状腺
(d)骨
解答例:
放射線概論 | ATOMICA | |
---|---|---|
(a)全身 | H-3, Cs-137 | K-40 |
(b)筋肉 | Cs-137 | |
(c)甲状腺 | I-131 | |
(d)骨 | Sr-90, Am-241 | Cs-137, Sr-90, Am-241, Ca-45 |
(2) 次の文章の空欄の部分に入る適切な語句を番号とともに記せ。
放射性核種の摂取経路には、[①呼吸]器、消化器、皮膚、粘膜などが考えられるが、 その侵入の程度は化学的性質に大きく依存する。 一般的に、[②固着]性の物質は、消化管から吸収される。 一方、[③遊離]性のI-131などでは、気道を通して吸収されやすく、 また239PuO2を含む[④粒子]状の物質は、気道粘膜への[⑤沈着]を特徴とする。 通常、皮膚や粘膜によって、放射性核種の侵入は制限されるが、[⑥創傷]がある場合は取り込みが促進される。
第5問
放射線障害と放射線リスクに関する以下の文章について、空欄の部分に入る適切な語句又は数値を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には同じ語句又は数値が入る。
(1) 単一細胞に生じた遺伝学的損傷とその後の細胞増殖が引き起こす確率的影響に対比すると、 [①確定]的影響は、細胞集団への致死性障害に起因する影響と見なされる。 この場合、組織の被ばくが限定的であれば、残存する組織によって機能の[②回復]ができるため、 臨床的な徴候が現れることなく耐えられる。 これが[③しきい]値線量が存在する理由とされる。
(2) 組織や器官の放射線感受性は多様であり、感受性の高い部位には、卵巣や[④精巣]、[⑤骨髄]、そして眼の[⑥水晶体]などがある。 一般に、これらの組織における被ばく線量と発生率の関係をプロットすると[⑦右上がりの]曲線になり、 被ばく線量の増加に伴ってその影響は大きく変化する。
感受性の程度 | 組織 |
---|---|
最も高い | リンパ組織(胸腺,脾臓),骨髄,生殖腺(精巣,卵巣) |
高い | 小腸,皮膚,毛細血管,水晶体 |
中程度 | 肝臓,唾液腺 |
低い | 甲状腺,筋肉,結合組織 |
最も低い | 脳,骨,神経細胞 |
(3) RBEは、着目する放射線と基準放射線の単位吸収線量当たりの生物学的影響の効果の[⑧比]で表され、 高[⑨LET]放射線ほどRBEが大きい。 一般に、低線量では確率的影響のRBEよりも組織反応のRBEの方が[⑩大き(?)]い。
(4) 放射線誘発の[⑪白血]病は、被ばく後2、3年目から発生する。 一方、[⑫固形]がんは、がん好発年齢になってから多発する。 発がんのリスク推計では、[⑬生涯]にわたる発生数を予測するために回帰モデルが利用されている。
(5) 高・中線量の放射線による発がんのリスクは、全種類の[⑫固形]がんを合わせたリスクとして、 線量に対して[⑭直線]又は直線-2次曲線の線量効果関係を示す。 また、[⑪白血]病に関しては直線-2次曲線の線量応答を示す。
(6) 放射線のリスク推計は[⑮疫]学の知見に基づいている。 [⑮疫]学による観察結果は、様々な[⑯環境(?)]や交絡因子の影響を受けることが常である。 低線量におけるリスク評価は、がん等の発生率が相対的に低いため、 その[⑰統計学]的検出力に見合う規模の観察集団を設定できないために不確実性が大きい。
(7) 放射線加重係数は、同じ吸収線量のγ線やX線と比較して、光子、[⑱電子]及びμ中間子については1、 陽子及び荷電π中間子では2、α粒子、核分裂片及び重粒子では[⑲20]の値が与えられている。 中性子では、[⑳エネルギー]の連続関数によって定義される。
第6問
放射線防護及び被ばく対応に関する以下の5つの語句の中から、4つを選択し簡潔に説明せよ。
(1) 生物学的半減期を決定する要因
(2) 預託線量
(3) 生物学的な線量推定方法
(4) 放射性物質の体外への排出方法
(5) 造血器系障害に対する医学的処置
解答例
(1) 生物学的半減期を決定する要因
体内にとり込まれた放射性物質は,その臓器親和性にしたがって種々の臓器・組織に分布し,その後排泄される.
生物学的減少は実際には複雑な過程をたどるが,指数関数的に減少するものと仮定し,排泄機構により体内量が1/2になるまでの時間を生物学的半減期と呼ぶ.
放射性物質の体内量の減少は,①放射性壊変による物理的減衰と②排泄機構による生物学的減少の2つに支配される.
(放射線概論)
(2) 預託線量
預託線量とは,一般成人に対して摂取後の50年間(子供や乳幼児に対しては摂取時から70歳まで)に受ける量を
摂取時に受けたと想定した放射線量のことを言う.
(環境放射線データベース)
(3) 生物学的な線量推定方法
バイオドジメトリ(生物学的線量測定)は,
放射線照射の細菌・カビに対する影響を滅菌指標菌により直接確認する方法で,放射線加工処理分野で用いられる実用的な線量測定法で,
広義には被ばくした生体の材料を用いて被ばく線量を計測する方法である.
(atomica)
(4) 放射性物質の体外への排出方法
一旦,体内に取り込まれて臓器に沈着した放射性物質を積極的に排泄させる方法はほとんどない.
トリチウム水は全身に水の形で分布しているので,利尿剤や水を大量に飲むなどして排泄を促進することが出来る.
体内に取り込まれたものの臓器に沈着する以前であれば,沈着を抑制することができる場合もある.
放射性ヨウ素の体内汚染の場合,安定ヨウ素剤(ヨウ化カリウム)を経口投与し,甲状腺への放射性ヨウ素の沈着を低下することができる.
つまり,放射性ヨウ素が甲状腺に集積する前に安定ヨウ素で甲状腺を満たし,甲状腺への放射性ヨウ素の沈着を防ぐのである.
また,DTPAなどのキレート剤を投与して沈着を阻害することも原理的には可能であるが,キレート剤は副作用が大きく実用には向かない。
※キレート剤…金属イオンと反応して化合物を作る.キレートとはギリシア語でカニのはさみを意味する.
(放射線概論)
(5) 造血器系障害に対する医学的処置
造血器症候群(骨髄症候群)の治療方針は,被ばく線量が4 Gy(または2 Gy)以上の時に生じる血球減少に対して
易感染性対策・造血性サイトカイン・成分輸血を行い,8 Gy(または6 Gy)以上の時に生じる不可逆的な骨髄不全に対して造血幹細胞移植を行う.
被ばく線量が10 Gyを上回る場合は,造血機能を回復させても消化器や肺の障害のため救命できないケースが多い.
(緊急被ばく医療ポケットブック)
アクチノイドの酸化状態
アクチニドの基底状態の気体原子の電子構造と水溶液中の酸化状態
Ac | Th | Pa | U | Np | Pu | Am | Cm | Bk | Cf | Es | Fm | Md | No | Lr |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5f2 | 5f3 | 5f4 | 5f6 | 5f7 | 5f7 | 5f9 | 5f10 | 5f11 | 5f12 | 5f13 | 5f14 | 5f14 | ||
6d | 6d2 | 6d | 6d | 6d | 6d | 6d | ||||||||
7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 | 7s2 |
(2) | (2) | 2 | 2 | 2 | 2 | |||||||||
3 | (3) | (3) | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | (4) | ||||||
5 | 5 | 5 | 5 | 5 | ||||||||||
6 | 6 | 6 | 6 | |||||||||||
7 | (7) |
上図出典:AESJ核燃料サイクル 表2-5
● 最も安定、 ◎ 安定に●の状態と共存、 ○ 還元剤又は酸化剤の共存下で安定、 △ 不安定
酸化数 | 化学種 | Ac | Th | Pa | U | Np | Pu | Am | Cm | Bk | Cf | Es | Fm | Md | No | Lr |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2 | M2+ | △? | ◎ | △ | △ | △ | ◎ | |||||||||
3 | M3+ | ● | △ | △ | ○ | ○ | ◎ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
4 | M4+ | ● | ○ | ◎ | ◎ | ● | ○ | ○ | ||||||||
5 | MO2+* | ● | △ | ● | ◎ | ○ | ||||||||||
6 | MO22+ | ● | ◎ | ◎ | ○ | |||||||||||
7 | MO23+ | △ | △? | △? |
*Pa(V)は例外でPaO(OH)2+(又はPa(OH)32+)として存在する。
上図出典:三頭聰明,アクチノイド化学事始,放射化学ニュース第16号2007
第50回 核燃料物質に関する法令
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第1問
次の文章は、原子力基本法及び関連政令に関するものである。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
原子力利用は、[①平和の目的]に限り、[②安全の確保]を旨として、民主的な運営の下に、 [③自主的]にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで[④国際協力]に資するものとする。 [②安全の確保]については、確立された[⑤国際的な基準]を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、 [⑥環境の保全]並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。
◎ 核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令
●(略) ◎(略)
●(定義)
この法律において次に掲げる用語は、次の定義に従うものとする。
一 「原子力」とは、原子核変換の過程において[⑦原子核から放出]されるすべての種類の[⑧エネルギー]をいう。
二 「核燃料物質」とは、ウラン、トリウム等原子核分裂の過程において高エネルギーを放出する物質であつて、 政令で定めるものをいう。
◎(核燃料物質)
原子力基本法の核燃料物質は、次に掲げる物質とする。
一 ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が[⑨天然の混合率]であるウラン及びその化合物
二 ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が[⑨天然の混合率]に達しないウラン及びその化合物
三 トリウム及びその化合物
四 (略)
五 ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が[⑨天然の混合率]をこえるウラン及びその化合物
六 [⑩プルトニウム]及びその化合物
七 [⑪ウラン二三三]及びその化合物
八 (略)
●三 「核原料物質」とは、ウラン鉱、トリウム鉱その他核燃料物質の原料となる物質であつて、政令で定めるものをいう。
◎(核原料物質)
原子力基本法の核原料物質は、ウラン若しくはトリウム又はその化合物を含む物質で核燃料物質以外のものとする。
●四 「原子炉」とは、[⑫核燃料物質を燃料]として使用する装置をいう。ただし、政令で定めるものを除く。
◎(原子炉)
原子力基本法の原子炉の定義において、ただし書の政令で定めるものは、[⑬原子核分裂の連鎖反応]を制御することができ、
かつ、その[⑭反応の平衡状態]を[⑮中性子源]を用いることなく[⑯持続する]ことができ、又は[⑯持続する]おそれのある装置以外のものとする。
●五 「放射線」とは、電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に[⑰空気を電離]する能力をもつもので、政令で定めるものをいう。
◎(放射線)
原子力基本法の放射線は、次に掲げる電磁波又は粒子線とする。
一 アルフア線、重陽子線、陽子線その他の重荷電粒子線及びベータ線
二 [⑱中性子線]
三 ガンマ線及び特性エックス線([⑲軌道電子捕獲]に伴つて発生する特性エックス線に限る。)
四 [⑳一メガ電子ボルト]以上の[⑧エネルギー]を有する電子線及びエックス線
第2問
以下の問いに答えよ。
(1) 次の文章は、原子炉等規制法のうち、廃棄の事業の許可の基準に関する条文の抜粋である。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(許可の基準)
第五十一条の三
原子力規制委員会は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、
その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 その事業を適確に遂行するに足りる[①技術的能力]及び[②経理的基礎]があること。
二 廃棄物埋設施設又は廃棄物管理施設の位置、構造及び設備が核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物による [③災害の防止上支障がないもの]として原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。
(2) 次の文章は、廃棄物管理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則のうち、 火災等による損傷の防止及び安全機能を有する施設に関する条文の抜粋である。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(火災等による損傷の防止)
第四条 廃棄物管理施設は、火災又は爆発により当該廃棄物管理施設の安全性が損なわれないよう、 次に掲げる措置を適切に[①組み合わせた措置]を講じたものでなければならない。
一 火災及び爆発の発生を防止すること。
二 火災及び爆発の発生を[②早期に感知]し、及び消火すること。
三 火災及び爆発の[③影響を軽減]すること。
(安全機能を有する施設)
第十一条
安全機能を有する施設は、その安全機能の[④重要度]に応じて、その機能が確保されたものでなければならない。
2 安全機能を有する施設を他の原子力施設と共用し、又は安全機能を有する施設に属する設備を 一の廃棄物管理施設において共用する場合には、廃棄物管理施設の安全性を損なわないものでなければならない。
3 安全機能を有する施設は、当該施設の安全機能を確認するための検査又は試験及び当該安全機能を 健全に維持するための[⑤保守]又は[⑥修理]ができるものでなければならない。
4 安全上重要な施設又は当該施設が属する系統は、廃棄物管理施設の安全性を確保する機能を維持するために 必要がある場合には、[⑦多重性]を有しなければならない。
(3) 次の文章は、特定廃棄物埋設施設又は特定廃棄物管理施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する規則のうち、 閉じ込めの機能及び遮蔽に関する条文の抜粋である。文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(閉じ込めの機能)
第六条
特定廃棄物埋設施設又は特定廃棄物管理施設は、次に掲げるところにより、
放射性廃棄物を[①限定された区域]に閉じ込める機能を保持するように施設しなければならない。
一 流体状の放射性廃棄物を内包する容器又は管に放射性廃棄物を含まない流体を導く管を接続する場合には、 流体状の放射性廃棄物が放射性廃棄物を含まない流体を導く管に[②逆流]するおそれがない構造であること。
二 密封されていない放射性廃棄物を取り扱うフードは、その開口部の[③風速]を適切に維持し得るものであること。
三 放射性廃棄物による汚染の発生のおそれのある室は、必要に応じ、その内部を[④負圧状態]に維持し得るものであること。
四 液体状の放射性廃棄物を取り扱う設備が設置される施設 (液体状の放射性廃棄物の[⑤漏えい]が拡大するおそれがある部分に限る。) は、次に掲げるところにより施設すること。
イ 施設内部の床面及び壁面は、液体状の放射性廃棄物が[⑤漏洩]し難いものであること。
ロ 液体状の放射性廃棄物を取り扱う設備の周辺部又は施設外に通じる出入口若しくはその周辺部には、 液体状の放射性廃棄物が施設外へ[⑤漏洩]することを防止するための[⑥堰]が施設されていること。 ただし、施設内部の床面が隣接する施設の床面又は地表面より低い場合であって、 液体状の放射性廃棄物が施設外へ[⑤漏洩]するおそれがないときは、この限りでない。
ハ 事業所の外に排水を排出する排水路(湧水に係るものであって放射性廃棄物により汚染するおそれがある管理区域内に 開口部がないものを除く。)の上に施設の床面がないようにすること。 ただし、当該排水路に放射性廃棄物により汚染された排水を安全に廃棄する設備及び 第十五条第一項第三号に掲げる事項を計測する設備を施設する場合は、この限りでない。
(遮蔽)
第七条
特定廃棄物埋設施設又は特定廃棄物管理施設は、当該施設からの[⑦直接線]及び[⑧スカイシャイン線]による
事業所周辺の線量が原子力規制委員会の定める線量限度を十分下回るように施設しなければならない。
2 事業所内における外部放射線による放射線障害を防止する必要がある場所には、 放射線障害を防止するために必要な遮蔽能力を有する遮蔽設備を施設しなければならない。 この場合において、当該遮蔽設備に開口部又は[⑨配管]その他の[⑩貫通部]がある場合であって 放射線障害を防止するために必要がある場合には、放射線の[⑤漏洩]を防止するための措置を講じなければならない。
第3問
以下の問いに答えよ。
(1) 次の文章は、核燃料物質の加工の事業に関する規則のうち、工場又は事業所内の運搬に関する条文の抜粋である。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(工場又は事業所内の運搬)
第七条の六
法第二十一条の二第一項の規定により、加工事業者は、加工施設を設置した工場又は
事業所内の核燃料物質等の運搬に関し、次の各号に掲げる措置を採らなければならない。
一 核燃料物質の運搬は、いかなる場合においても、核燃料物質が[①臨界]に達するおそれがないように行うこと。
二 核燃料物質等を運搬する場合は、これを容器に封入すること。 ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
イ 核燃料物質によつて汚染された物(その放射能濃度が原子力規制委員会の定める限度を超えないものに限る。) であつて放射性物質の[②飛散]又は[③漏えい]の防止その他の原子力規制委員会の定める [④障害防止]のための措置を講じたものを運搬する場合
ロ 核燃料物質によつて汚染された物であつて大型機械等容器に封入して運搬することが著しく困難なものを 原子力規制委員会の[⑤承認]を受けた[④障害防止]のための措置を講じて運搬する場合
三 前号の容器は、次に掲げる基準に適合するものであること。
イ 当該容器に外接する[⑥直方体]の各辺が[⑦十センチメートル]以上となるものであること。
ロ [⑧容易]かつ安全に取り扱うことができ、かつ、運搬中に予想される[⑨温度]及び[⑩内圧の変化]、振動等により、 き裂、破損等が生ずるおそれがないものであること。
(2) 次の文章は、核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に関する規則のうち、 六ふつ化ウランに係る核燃料輸送物の技術上の基準に関する条文の抜粋である。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(六ふつ化ウランに係る核燃料輸送物の技術上の基準)
第十二条
六ふつ化ウランを第三条の規定により核燃料輸送物として運搬する場合には、
当該六ふつ化ウランに係る核燃料輸送物は、次に掲げる技術上の基準に適合するものでなければならない。
一 当該六ふつ化ウランの容積は、封入又は取出しの時に予想される[①最高温度]において、 容器の内容積の[②九十五パーセント]を超えないこと。
二 通常の運搬状態において、当該六ふつ化ウランが[③固体状]であり、かつ、 容器の内部が[④負圧]となるような措置が講じられていること。
2 原子力規制委員会の定める量以上の六ふつ化ウランが収納されている核燃料輸送物(以下「六ふつ化ウラン輸送物」 という。)にあつては、前項の基準に加え、次に掲げる技術上の基準に適合するものでなければならない。
一 原子力規制委員会の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る耐圧試験の条件の下に置くこととした場合に、 放射性物質の[⑤漏えい]がなく、かつ、受け入れられない[⑥応力]が発生しないこと。
二 原子力規制委員会の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る一般の試験条件の下に置くこととした場合に、 放射性物質の[⑤漏洩]がなく、かつ、[⑦弁]に損傷のないこと。
三 原子力規制委員会の定める六ふつ化ウラン輸送物に係る特別の試験条件の下に置くこととした場合に、 [⑧密封装置]に破損がないこと。
四 安全弁、逃がし弁その他の容器の内部の流体の排出による[⑨過圧防止効果]を有する装置を[⑩備えない]こと。
第4問
以下の問いに答えよ。
(1) 次の文章は、原子炉等規制法に基づく核燃料物質の加工の事業に関する規則の貯蔵に関する規定である。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(貯蔵)
第七条の七
一 核燃料物質の貯蔵は、貯蔵施設において行うこと。
二 貯蔵施設の目につきやすい場所に、貯蔵上の注意事項を掲示すること。
三 核燃料物質の貯蔵に従事する者以外の者が貯蔵施設に[①立ち入る]場合は、その貯蔵に従事する者の指示に従わせること。
四 核燃料物質の貯蔵は、いかなる場合においても、核燃料物質が[②臨界に達する]おそれがないように行うこと。
五 六ふつ化ウランの貯蔵は、六ふつ化ウランが[③漏えいする]おそれがない構造の容器に封入して行うこと。
六 [④プルトニウム]又はその化合物の貯蔵は、[④プルトニウム]又はその化合物が[③漏洩する]おそれがない構造の容器に封入して行うこと。 ただし、[⑤グローブボックス]その他の[⑥気密設備]の内部において貯蔵を行う場合その他 [④プルトニウム]又はその化合物が[③漏洩する]おそれがない場合は、この限りでない。
(2) 次の文章は、原子炉等規制法に基づく核燃料物質の譲渡し及び譲受けの制限に関する条文の抜粋である。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(譲渡し及び譲受けの制限)
第六十一条
核燃料物質は、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
ただし、国際約束に基づき国が核燃料物質を譲り受け、若しくはその核燃料物質を譲り渡し、
又は国からその核燃料物質を譲り受ける場合は、この限りでない。
一 (略)
二 加工事業者が[①製錬事業者]、[②試験研究用等原子炉設置者]、[③発電用原子炉設置者]、再処理事業者、[④廃棄事業者]、使用者 若しくは他の加工事業者に核燃料物質を譲り渡し、又はこれらの者から核燃料物質を譲り受ける場合
三~八 (略)
九 [①製錬事業者]、加工事業者、[②試験研究用等原子炉設置者]、[③発電用原子炉設置者]、再処理事業者、使用者又は国際規制物資使用者が 核燃料物質を[⑤輸出]し、又は[⑥輸入]する場合
(3) 次の文章は、核燃料物質の加工の事業に関する規則に定められた工場又は事業所内の廃棄に関するもの及び記録、 並びに核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則に定められた保安に関するものである。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。 なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
核燃料物質の加工の事業に関する規則
(工場又は事業所内の廃棄)
第七条の八
十二
[①固体状]の放射性廃棄物は、次に掲げるいずれかの方法により廃棄すること。
イ [②放射線障害]防止の効果を持つた焼却設備において焼却すること。
ロ 容器に封入し、又は容器に[③固型化]して[②放射線障害]防止の効果を持つた保管廃棄施設に保管廃棄すること。
ハ ロの方法により廃棄することが著しく困難な大型機械等の放射性廃棄物 又は[④放射能の時間による減衰]を必要とする放射性廃棄物については、[②放射線障害]防止の効果を持つた保管廃棄施設に保管廃棄すること。
(記録)
第七条
二
放射線管理記録
記録事項: チ 廃棄施設に廃棄し、又は海洋に投棄した放射性廃棄物の種類、 当該放射性廃棄物に含まれる[⑤放射性物質の数量]、当該放射性廃棄物を容器に封入し、 又は容器に[③固形化]した場合には当該容器の数量及び[⑥比重]並びにその廃棄の日時、場所及び方法
記録すべき場合: 廃棄の都度
保存期間: [⑦廃止措置]が終了し、その結果が原子力規制委員会規則で定める基準に適合していることについて、 原子力規制委員会の確認を受けるまでの間
核燃料物質等の工場又は事業所の外における廃棄に関する規則
(保安のために必要な措置等)
第二条
法第五十八条第一項の規定により、同項に規定する原子力事業者等は、製錬施設、
加工施設、試験研究用等原子炉施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、
廃棄物埋設施設、廃棄物管理施設又は使用施設等を設置した工場又は事業所(原子力船を含む。)
の外において行われる放射性廃棄物の廃棄に関し、次の各号に掲げる措置を採らなければならない。
一 放射性廃棄物は、第三号に規定する場合を除き、[②放射線障害]防止の効果を持つた廃棄施設に廃棄すること。
二 前号の規定により放射性廃棄物を廃棄する場合には、当該廃棄施設を設置した使用者等に、 当該放射性廃棄物に関する[⑧記録の写し]を交付すること。
三 (略)
第5問
次の文章は、原子炉等規制法及び使用済燃料の再処理の事業に関する規則の条文の一部である。 文章中の空欄に入る語句を番号とともに記せ。なお、同じ番号の空欄には、同じ語句が入る。
(1)
原子炉等規制法
第六十四条
原子力事業者等(原子力事業者等から[①運搬]を委託された者及び受託貯蔵者を含む。
以下この条並びに次条第一項及び第二項において同じ。)は、その所持する核燃料物質
若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉に関し、地震、[②火災]その他の[③災害]が起こつたことにより、
核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による[③災害]が発生するおそれがあり、
又は発生した場合においては、直ちに、主務省令(第三項各号に掲げる原子力事業者等の区分に応じ、
当該各号に定める大臣又は委員会の発する命令をいう。)で定めるところにより、[④応急の措置]を講じなければならない。
2 前項の事態を発見した者は、直ちに、その旨を[⑤警察官]又は[⑥海上保安官]に通報しなければならない。
3 原子力規制委員会又は[⑦国土交通]大臣は、第一項の場合又は核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物 若しくは原子炉による[③災害]発生の急迫した危険がある場合において、 核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による[③災害]を防止するため 緊急の必要があると認めるときは、同項に規定する者に対し、次に掲げる原子力事業者等の区分に応じ、 製錬施設、加工施設、試験研究用等原子炉施設、発電用原子炉施設、使用済燃料貯蔵施設、再処理施設、 廃棄物埋設施設若しくは廃棄物管理施設又は使用施設の[⑧使用の停止]、 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の[⑨所在場所]の変更その他核燃料物質若しくは 核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による[③災害]を防止するために[⑩必要な措置]を講ずることを [⑪命ずる]ことができる。(以下略)
(2)使用済燃料の再処理の事業に関する規則 第二十条 法第六十四条第一項の規定により、再処理事業者は、次の各号に掲げる[④応急の措置]をとらなければならない。
一 再処理施設に[②火災]が起こり、又は再処理施設に[⑫延焼]するおそれがある場合には、 [⑬消火]又は[⑫延焼]の防止に努めるとともに直ちにその旨を[⑭消防吏員]に通報すること。
二 核燃料物質を他の場所に移す余裕がある場合には、必要に応じてこれを安全な場所に移し、その場所の周囲には、 なわ張り、標識等を設け、かつ、[⑮見張人]をつけることにより、関係者以外の者が[⑯立ち入る]ことを禁止すること。
三 [⑰放射線障害]の発生を防止するため必要がある場合には、再処理施設の内部にいる者及び附近にいる者に [⑱避難]するよう警告すること。
四 使用済燃料等による汚染が生じた場合には、すみやかに、その[⑲広がり]の防止及び [⑳除去]を行なうこと。
五 [⑰放射線障害]を受けた者又は受けたおそれのある者がいる場合には、すみやかに救出し、 [⑱避難]させる等緊急の措置を講ずること。
六 その他[⑰放射線障害]を防止するために[⑩必要な措置]を講ずること。