第34回 核燃料取扱主任者試験 核燃料物質に関する法令
第34回 核燃料取扱主任者試験 核燃料物質に関する法令
※転載元の解答例集に誤り,あるいは法改正による変更箇所が(他と比べて)多く含まれているように思われます。 newclearsが気付いた箇所は修正しながら転載しましたが、誤りが残っている/さらなる誤りを起こした恐れもあるので、ご注意ください。
第1問
「原子力基本法」,「核原料物質.核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」 (以下.本問において「原子炉等規制法」という。) 及びその関係法令に関する次の問に答えよ。
(1) 次の記述中,空欄の部分に入れるべき適当な語句又は数値を番号とともに記せ。 なお,同じ番号の空欄には同じ語句又は数値が入る。
原子力基本法においては,原子力の研究,開発及び利用の基本方針は,[①平和の目的]に限り, [②安全の確保]を旨として,民主的な運営の下に,自主的にこれを行うものとし,その成果を公開し, 進んで国際協力に資するものとすることが定められている。 (基本法第2条)
原子炉等規制法の目的は,原子力基本法の精神にのつとり,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の利用が[①平和の目的]に限られ, かつ,これらの利用が計画的に行われることを確保するとともに,これらによる[③災害を防止]し,及び核燃料物質を防護して, [④公共の安全]を図るために,精錬,加工,再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関する必要な規制等を行うことなどである。 (法律第1条)
核燃料物質の加工の事業に関する規則において,「[⑤放射線業務従事者]」とは,核燃料物質の加工,加工施設の保全, 核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物(「核燃料物質等」)の運搬,貯蔵又は廃棄等の業務に従事する者であって, 管理区域に立ち入るものをいう。 (加工規則第1条)
[⑤放射線業務従事者]の線量限度は,実効線量について,平成13年4月1日以降[⑥5年]年ごとに区分した各期間につき[⑦100]ミリシーベルト, 1年間につき50ミリシーベルトである。 また,等価線量は,眼の水晶体については1年間につき150ミリシーベルト,皮膚については1年間につき500ミリシーベルトである。 (線量告示第6条)
緊急作業に係る[⑤放射線業務従事者]の線量限度は,実効線量について[⑧100]ミリシーベルトである。 (線量告示第8条)
(2) 次の文章は,原子炉等規制法及びその関連法令に関するものである。 その内容が正しいものには○印を,誤っているものには×印を,番号とともに記せ。 また,誤っているものについては,その理由を付すか,誤りを訂正せよ。
(newclears注:文章中、核燃料物資という単語が複数回登場するが、正しくは核燃料物質ではなかろうか。 物質と物資が混同されるケースがインターネット上では跋扈しているようである)
① 加工事業者,使用済燃料貯蔵事業者,再処理事業者及び廃棄物管理事業者は, 政令で定める施設の性能について,経済産業大臣が定期に行う検査を受けなければならない。 この検査は,加工施設及び再処理施設にあっては毎年2回,使用済燃料貯蔵施設及び特定廃棄物管理施設にあっては1年ごとに行われる。
解答例:× 訂正:毎年2回→毎年1回
法律第16条の5、 法律第13条の11、 法律第46条の2の2、 法律第51条の10
② 加工事業者,使用済燃料貯蔵事業者,再処理事業者,廃棄物埋設事業者及び廃棄物管理事業者は, 経済産業省令で定めるところにより,事業の実施に関し経済産業省令で定める事項を記録し, これをその工場又は事業所(使用済燃料貯蔵事業者又は廃棄事業者にあっては事業所)に備えて置かなければならないこととなっている。 その記録に当たっては,各記録事項とも当該事項を間接的に推定することができる記録でもよいこととなっている。
解答例:○
法律第21条、 法律第43条の17、 法律第47条、 法律第51条の15
③ 加工事業者,使用済燃料貯蔵事業者,再処理事業者及び廃棄事業者並びにその従業者は,保安規定を守らなければならない。 また,これら事業者は,保安規定の遵守状況を自ら定期的(年4回)に検査し,その結果を経済産業大臣に報告しなければならない。
解答例:× 訂正:保安規定の遵守状況を~報告しなければならない。→ 保安規定の遵守状況の検査を毎年4回受けなければならない。
法律第22条、 法律第43条の20、 法律第50条、 法律第51条の18
④ 原子炉等規制法第63条の規定により,製錬事業者,加工事業者,原子炉設置者,外国原子力船運航者,使用済燃料貯蔵事業者, 再処理事業者,廃棄事業者及び使用者(第66条第1項に規定する者を含む。)並びにこれらの者から運搬を委託された者及び受託貯蔵者は, その所持する核燃料物資について盗取,所在不明その他の事故が生じたときは,遅滞なく,その旨を警察官又は海上保安官に届け出なければならない。
解答例:○
法律第63条
⑤ 製錬事業者,加工事業者,原子炉設置者,使用済燃料貯蔵事業者,再処理事業者, 廃棄事業者又は使用者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては, これらの者の従業者は,その事実を原子力安全委員会に申告することができるが, 事業者は,申告をしたことを理由として,その従業者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならず, これに違反した場合には,罰則が課せられる。
解答例:× 訂正:原子力安全委員会→主務大臣
法律第66条の2
⑥ 加工事業者は,加工施設において,核燃料物資が臨界に達し,又は達するおそれがあるときや 放射線業務従事者について線量限度を超え,又は超えるおそれのある被ばくがあったときには, その旨を直ちに,その状況及びそれに対する処置を10日以内に経済産業大臣に報告しなければならないが, その他の加工施設の故障(加工に及ぼす軽微なものを除く。)があったときは,30日以内に報告すればよい。
解答例:× 訂正:30日以内に報告すればよい。→ (同様に)その旨を直ちに,その状況及びそれに対する処置を10日以内に経済産業大臣に報告しなければならない。
第2問
原子炉等規制法に基づく加工事業及び再処理事業の規制に関して,以下の(1)から(3)の小問のうち二つを選択して答えよ。
(1) 臨界管理上のすべての単一ユニットについて形状管理を行うとして設計されている加工施設(施設Aと称する。)と, 一部の単一ユニットについて濃度管理または質量管理を行う(それ以外の単一ユニットについては,形状管理を行う。)として設計されている加工施設(施設Bと称する。)がある。 それぞれの施設に係る設計及び工事方法の認可申請書及び保安規定を作成する際に,単一ユニットの臨界管理に関してどのような記載を盛り込むべきと考えるか。 簡潔に述べよ。
解答例
施設A: 単一ユニットの[形状と寸法]に対して、[核的に安全]な制限値を設定する。 この制限値の維持・管理については、起こるとは考えられない独立した[2つ]以上の異常が同時に起こらない限り臨界に達しないものとする。
施設B: 形状管理を行う単一ユニットに対しては施設Aと同じ。 濃度管理または質量管理を行う単一ユニットに対しては、燃料の濃度または質量に対して[核的に安全]な制限値を設定する。 この場合、誤操作等を考慮してもユニット内の燃料の濃度または質量が制限値を超えないような、十分な対応策を講じる。 制限値の維持・管理については、起こるとは考えられない独立した[2つ]以上の異常が同時に起こらない限り臨界に達しないものとする。
解説: 一般のウラン加工施設を想定した問題と解釈して、ウラン加工施設安全審査指針の指針10.を参照した。 よって、上記が満足されるならば、臨界事故に対する記述は必要ない。 しかし、ウラン濃縮度が[5%]を超える加工施設及びウラン・プルトニウム混合酸化物加工施設では、万一の臨界事故を想定し、これに対する適切な対策を講じる必要がある。
(2) 加工施設の使用前検査に関して次の問に答えよ。
イ.使用前検査について,「認可を受けた設計及び方法」及び「経済産業省令で定める技術上の基準」を必ず用いて,説明せよ。
解答例
設工認(設計及び工事の方法の認可)の認可のあと工事を行う。 使用前検査の申請を行い、施設の完成後の使用前検査を受け、その工事が認可を受けた設工認の方法に従って行われていること、 またその性能が技術上の基準に適合するものであれば、使用前検査合格の後、施設の使用が可能となる。
(newclearsによる解答例(2019年10月):
加工事業者は、加工施設の[工事及び性能]について原子力規制委員会の[検査]を受け、[これに合格した]後でなければ、加工施設を使用してはならない。
検査においては、その[工事]が 認可を受けた設計及び方法 に従って行われていること、及び、
その[性能]が 経済産業省令で 原子力規制委員会規則で定める技術上の基準 に適合するものであること、に適合しているときに合格とする。
)
備考: 法第16条の2(設計及び工事の方法の認可)、 法第16条の3(使用前検査)、 加工規則第3条の5(使用前検査の申請)、 加工規則第3条の6(使用前検査の実施)、 加工規則第3条の6の2(性能の技術上の基準)
ロ.経済産業省令で定める技術上の基準のうち,3つを記せ。
解答例
加工規則第3条6の2(性能の技術上の基準)参照(1号から5号のうち、3つ記載する)
(newclears注:下記は平成17年12月28日経済産業省令第125号時点のもの。2019年10月現在、3条6の2は削除されている)
(性能の技術上の基準)
第三条の六の二 法第十六条の三第二項第二号の経済産業省令で定める技術上の基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 申請書等及びその添付書類に記載した[警報装置]、[非常用動力装置]その他の非常用装置、[安全保護回路]及び[連動装置](一定の条件が充足されなければ機器を作動させない装置をいう。)が、申請書等及びその添付書類に記載した条件において確実に作動すること。
二 放射性廃棄物の廃棄施設の[処理能力]が、申請書等及びその添付書類に記載した能力以上であること。
三 [主要]な放射線管理施設の性能が、申請書等及びその添付書類に記載した性能を満足するものであること。
四 加工施設中人が常時立ち入る場所、加工施設の使用中特に人が立ち入る場所その他放射線管理を特に必要とする場所における[線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度]が、申請書等及びその添付書類に記載した値以下であること。
五 核燃料物質が[臨界に達すること]を防ぐ能力及び核燃料物質等を[限定された区域に閉じ込める]能力が、申請書等及びその添付書類に記載した能力を満足するものであること。
(3) 以下は,加工施設を設置した工場または事業所において,液体状の放射性廃棄物を排水施設によって排出する方法で廃棄する場合についての, 核燃料物質の加工の事業に関する規則の規定の抜粋である。
<核燃料物質の加工の事業に関する規則の規定(抜粋)>
排水口において又は排水監視設備において排水中の放射性物質の[①濃度]を監視することにより, [②周辺監視区域の外側の境界における水中の放射性物質の濃度]が経済産業大臣の定める[③濃度]限度を超えないようにすること。
次の問に答えよ。
イ.空欄を埋めよ。
ロ.加工施設に起因する外部放射線に被ばくするおそれがあり,かつ, 水中の一種類だけの放射性物質を経口摂取するおそれがある場合についての二重下線部の限度について説明せよ。 (空気中の放射性物質の吸入摂取は無視するものとする。)
線量当量告示第9条(周辺監視区域外の濃度限度等)第1項
「放射性物質の種類が明らかでかつ1種類である場合にあっては、別表第1の第1欄に掲げる放射性物質の種類に応じて、
空気中の濃度については第5欄、水中の濃度については第6欄に掲げる濃度」を超えないようにすること。
第3問
次の文章は,原子炉等規制法に基づく加工事業及び再処理事業の規制に関する記述である。 その内容が正しいものには○印を,誤っているものには×印を,番号とともに記せ。 また,誤っているものについては,その理由を付すか,誤りを訂正せよ。 なお,記述中,単に「事業者」とあるものは加工事業者及び再処理事業者を,「施設」とあるものは加工施設または再処理施設を意味する。
(1)
加工事業の許可の基準は,
一 その許可をすることによって原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
二 その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。
三 加工施設の位置,構造及び設備が核燃料物質による災害の防止上支障がないものであること。
である。
解答例:× 訂正:原子力~に支障を及ぼすおそれがないこと。 →加工の能力が著しく過大にならないこと。 (法律第14条)
(2) 施設を解体しようとするとき,再処理事業者は原子炉等規制法に基づき経済産業大臣に届出を行わなければならないが, 加工事業者には,解体の届出は義務付けられていない。
解答例:× 訂正:が,加工事業者には,~義務付けられていない。 →が,加工事業者も同様に届け出なければならない。 (法律第50条の2、法律第22条の2)
(3) 事業者は,施設定期自主検査を年1回行えばよい。
解答例:× 訂正:年1回行えばよい。 →(加工規則第7条の4の2参照...newclears注:適切な訂正例が分からない。 定期検査の頻度を問うているのだとしたら、年1回=1年ごと、と解釈すれば正しい。 その解釈が不適切なのか、あるいは1つの「施設定期自主検査」ではなく複数の検査内容を実施しなければならないから誤りなのか?)
使用済燃料の再処理の事業に関する規則第12条
(再処理施設の施設定期自主検査)
第十二条 法第四十八条第一項の規定により、再処理事業者は、次の各号(法第五十条の五第二項の認可を受けた場合は第一号を除く。)に掲げる検査に関する措置を採らなければならない。
一 令第二十八条に規定する再処理施設(次号に規定するものを除く。)は、当該施設の性能が法第四十六条の二の二に規定する原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合しているかどうかについての検査を一年ごとに行うこと。
二 警報装置、非常用動力装置その他の非常用装置については、当該装置の各部分ごとの当該作動のための性能検査を一月ごとに、当該装置全体の当該作動のための総合検査を一年ごとに行うこと。
三 再処理施設の保安のために直接関連を有する計器及び放射線測定器については、校正を一年ごとに行うこと。
2 法第五十条の五第二項の認可を受けた再処理事業者は、第十九条の五第一項第五号の性能維持施設の性能が維持されているかどうかについての検査を第七条の十の二の規定により定める施設定期検査を受けるべき時期ごとに行わなければならない。
核燃料物質の加工の事業に関する規則第7条4の2
(加工施設の施設定期自主検査)
第七条の四の二 法第二十一条の二第一項の規定により、加工事業者は、次の各号(法第二十二条の八第二項の認可を受けた場合は第一号を除く。)に掲げる検査に関する措置を採らなければならない。
一 令第九条に規定する加工施設(次号に規定するものを除く。)は、当該施設の性能が法第十六条の四の二に規定する原子力規制委員会規則で定める技術上の基準に適合しているかどうかについての検査を一年ごとに行うこと。
二 警報装置、非常用動力装置その他の非常用装置については、当該装置の各部分ごとの当該作動のための性能検査を一月ごとに、当該装置全体の当該作動のための総合検査を一年ごとに行うこと。
三 加工施設の保安のために直接関連を有する計器及び放射線測定器については、較正を一年ごとに行うこと。
2 法第二十二条の八第二項の認可を受けた加工事業者は、当該認可若しくは同条第三項において準用する法第十二条の六第三項の変更の認可に係る申請書又はそれらの添付書類に記載された加工施設の性能が維持されているかどうかについての検査を一年ごとに行わなければならない。
(4) 事業者は,設備の操作の訓練のために操作を行う場合には,訓練を受ける者が守るべき事項を定め, 核燃料取扱主任者の監督の下にこれを守らせねばならない。
解答例:× 訂正:事業者は,設備の操作の訓練のために操作を行う場合には,事業者及びその従業者は保安規定に基づき行わなければならない。 核燃料取扱主任者は、核燃料物質の取扱に関して保安の監督を行う。 (法律第22条、法律第51条の18)
(5) 加工事業者は,毎週1回以上,また,再処理事業者は,毎日1回以上,従事者に施設について,巡視及び点検を行わせなければならない。
解答例:×
訂正:加工事業者は,毎週1回以上,また,再処理事業者は,毎日1回以上, →加工事業者及び再処理事業者は、毎日1回以上,
訂正:従事者→従業者
(加工規則第7条の4、再処理規則第11条)
(6) 1,000 kgを超える濃縮度5%のウランを取り扱うウラン加工施設を設置する加工事業者は, 防護区域を定め,さらにその周辺に周辺防護区域を定めなければならない。
解答例:× 訂正:防護区域を定め~周辺防護区域を定めなければならない。 →防護区域を定めなければならない。 (法律第21条の2、法律施行令第4条3、加工規則7条の9)
(7) 全ての加工施設は,臨界警報設備の設置その他臨界事故の発生を想定した適切な措置が講じられていなければならない。
解答例:× 訂正:全ての加工施設は、 →臨界質量以上のウラン又はプルトニウムを取り扱う加工施設は、 (加工総理府令第3条)
(8) 再処理施設の安全上重要な施設については多重性が求められているが,加工施設の安全上重要な施設については多重性が求められていない。
解答例:○ (加工総理府令第11条、再処理総理府令第11条)
(9) 施設において,プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質を取り扱うグローブボックスは, その内部を常時負圧状態に維持しうるものでなければならない。
解答例:× 訂正:~ならない。 →~ならない。かつ、給気口及び排気口を除き密閉することができる構造であることでなければならない。 (加工総理府令第7条、再処理総理府令第7条)
(10) 施設において,プルトニウム及びその化合物並びにこれらの物質の一又は二以上を含む物質を取り扱う室(保管廃棄する室を除く。)は, その内部を負圧状態に維持しうるものでなければならない。
第4問
次の文章は,核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及びその関連する法令において定められている核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の廃棄に関するものである。 文章中の空欄の部分に入る適切な語句を番号とともに記せ。
(1) 加工事業者は,核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物で廃棄しようとするもの (以下本問で「放射性廃棄物」という。)(輸入されたものを除く。)を加工施設を設置した工場又は事業所の外で廃棄する場合には, [①保安]のために必要な措置を講じなければならない。当該措置には以下の措置が含まれる。
- a 放射性廃棄物は,[②放射線障害防止]の効果を持った廃棄施設に廃棄すること。
- b 当該廃棄施設を設置した者に,当該放射性廃棄物に関する[③記録の写し]を交付すること。
- c 廃棄に従事する者の[④線量当量]が経済産業大臣の定める[⑤線量当量限度]を超えないようにすること。
(2) 放射性廃棄物を輸入した加工事業者は,当該放射性廃棄物を加工施設を設置した工場又は事業所の外で廃棄する場合には, 以下に揚げる[⑥保安]のために必要な措置を講じて[⑦廃棄物管理設備]に廃棄しなければならない。
a 輸入した放射性廃棄物は,放射線障害防止のため[⑧容器]に[⑨封入し、又は容器に固型化]した物であること, 放射性物質が容易に[⑩飛散]し,及び[⑪漏えい]しないものであること, 著しい[⑫破損]がないこと,等の基準に適合するものとすること。
b 輸入した放射性廃棄物を[⑬廃棄物管理設備]に廃棄する場合には,当該放射性廃棄物に関し[⑭封入又は固型化]の方法, 放射性物質の種類ごとの[⑮放射能濃度]などの事項を記載した書類を作成し, [⑯当該廃棄物管理設備]を設置した[⑰廃棄物管理事業者]に交付すること。
c 輸入した放射性廃棄物には,b. の書類に記載された事項と照合できるような[⑱整理番号]を表示すること。
(3) 放射性廃棄物を輸入した加工事業者は,当該放射性廃棄物を加工施設を設置した工場又は事業所の外で廃棄する措置が経済産業省令の規定に適合することについて, 当該放射性廃棄物を[⑲廃棄物管理設備]に廃棄する前に,経済産業大臣の[⑳確認]を受けなければならない。
備考: 法律第11条の2、 外廃棄規則第2条、 法律第58条の2、 外廃棄規則第2条、第4条
第5問
「核原料物質,核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下,「原子炉等規制法」という。)」に基づき, 核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物(以下,「核燃料物質等」という。)を工場等の外において運搬する場合, 次の文章の空欄の部分に入る適切な語句又は数値(必要に応じて単位を付すこと。)を番号とともに記せ。 なお.同じ番号の空欄には同じ語句又は数値が入る。
【輸送規則一般/届出】
(1)
使用者,製錬事業者,加工事業者,原子炉設置者,外国原子力船運航者,再処理事業者及び廃棄事業者並びにこれらの者から運搬を委託された者(「使用者等」という。)は,
核燃料物質等を工場等の外で運搬する場合は,原子炉等規制法に基づき,経済産業省令等で定める技術上の基準に従って[①保安]のために必要な措置を講じなければならない。
この場合,運搬する核燃料物質に,政令で定める[②特定核燃料物質]を含む場合は,[①保安]及び[②特定核燃料物質]の[③防護]のために必要な措置を講じなければならない。
使用者等は,[②特定核燃料物質]等を運搬する場合,当該運搬の経路のある区域を管轄する[④都道府県公安委員会]に届け出て,届出を証明する文書(運搬証明書)の交付を受けなければならない。
(法律第59条の2)
【輸送物の区分】
(2) 我が国では,[⑤比放射能],[⑥放射能量],線量当量率を基準として,核燃料物質等を以下の4つの輸送物に区分している。 更に,臨界安全性の確保が必要な輸送物は,[⑦C型輸送物]と区分されている。
a | [⑥放射能量],線量当量率が極めて小さい核燃料物質等(例:劣化ウラン) | [⑩L型輸送物] |
---|---|---|
b | [⑥放射能量]が主務大臣の定める値以下で,輸送物の表面及び表面から1 mの点での線量当量率が各々[⑧ |
[⑪A型輸送物] |
c | [⑥放射能量]が主務大臣の定める値を超え,輸送物の表面及び表面から1 mの点での線量当量率が各々[⑧ |
B型輸送物 |
d | [⑤比放射能]の極めて低いもの又は表面のみ汚染している物質(例:天然ウラン,低レベル放射性廃棄物) | [⑫IP型輸送物] |
なお,B型輸送物のうち,[⑬BM型]は国際輸送において関係する全ての国の承認が必要となる輸送物である。 (外運搬規則3条~10条)
【輸送物の試験】
(3) 収納される[⑥放射能量]が多いB型輸送物及び臨界安全性の確保が必要な[⑦C型輸送物]については, 国際原子力機関(IAEA)輸送規則に基づき,過酷な事故を想定した落下試験(9 m,非降伏面), [⑭耐火試験](800℃,30分),[⑮浸漬試験](深さ15 m,8時間)等の特別の試験条件が課されている。
【主務大臣の承認等】
(4) B型輸送物,[⑦C型輸送物]及び0.1 kg以上の[⑯六フッ化ウラン]を収納する輸送物を運搬する場合は, 使用者等は,核燃料輸送物が技術上の基準に適合することについて主務大臣の[⑰確認]を受けなければならない。 また,使用者等は,運搬に使用する容器について,あらかじめ,主務省令で定めるところにより,主務大臣の承認を受けることができる。 この場合において,主務大臣の承認を受けた容器([⑱承認容器])については,技術上の基準のうち容器に関する基準は満たされたものとする。 (法律第59条の2)
【輸送時の放射線被ばく及び臨界安全性の管理】
(5) 1985年版IAEA輸送規則においては,輸送物等(オーバーパック,貨物コンテナ,非梱包のLSA-1,SCO-1を含む)について, 臨界安全性及び輸送中の放射線被ばくの両方を管理する指数として[⑲輸送指数]が用いられていたが, 1996年版IAEA輸送規則においては,核分裂性物質を含む輸送物等の集積の臨界安全性を管理するために臨界安全指数(CSI)が新たに定義され, 放射線被ばくの管理に用いられる指数は,従来の呼称である[⑲輸送指数]として再定義されている。
(a) 臨界安全指数(CSI)は,臨界安全評価で決定される輸送制限個数で50を除した値と規定される。
(b)
[⑲輸送指数]は,輸送物の表面から1 mでの線量当量率をmSv/h単位で表記した値の最大値を[⑳100]倍した値と規定されている。
臨界安全の管理からCSI≦50,放射線被ばく管理からTI≦10の限度が設けられているが,
専用積載の場合は追加的な運用管理によりこれらを超えることができるとしている。
(放射線安全輸送規則)
出典
谷内 茂康; 佐藤 忠; 須賀 新一; 小室 雄一; 内田 正明; 中島 邦久; 中村 仁一; 雨澤 博男; 大村 英昭; 湊 和生; 武田 常夫; 櫛田 浩平; 傍島 眞 核燃料取扱主任者試験問題・解答例集,1999~2003年, JAERI-Review 2003-025,https://doi.org/10.11484/jaeri-review-2003-025