ウラン

減損ウラン~回収ウラン

U-234 U-235 U-238
天然ウラン 0.0056% 0.7205% 99.2739%
低濃縮ウラン(原子炉用) 3~4%程度
高濃縮ウラン(核兵器用) 90%以上
劣化ウラン 0.2%程度 ウラン濃縮工場で235Uを取り出した残りカス。放射能が低い。
減損ウラン 原子炉内で燃焼することにより、235U濃度が使用前に比べて低下したウラン。放射能が高い。/濃縮度が天然ウラン以下に低下したものを再処理により回収したもの。
回収ウラン 約1.0% 使用済燃料を再処理して回収したウラン。再処理ウランともいう。天然ウランよりも235U濃度が高い。/濃縮度が天然以下であるかどうかで区別しない場合の一般的な呼び方。

使用済燃料起源のウランという意味で、減損ウランと回収ウランが同じものを指すケースもあるようだ。 その場合、劣化ウランは、回収(減損)ウランとは下図のように明確に区別される。

下図:核燃料に使うウランとプルトニウムの流れ

天然ウラン
│ウラン濃縮
┌───── ┴─────────
劣化ウラン 濃縮ウラン← ─────────────
↓ブラケット
高速炉 軽水炉
↓再処理 使用済燃料 │再濃縮
↓再処理
├─────
└───── ┬─────────
MOX燃料 回収ウラン(減損ウラン)
└→高速炉、軽水炉

出典:鈴木達也,使用済み燃料の処理・処分の観点からの核燃料サイクルにおける高速炉の意義と高速炉使用済み燃料再処理の技術動向と課題, https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/kosokuro_kaihatsu_wg/pdf/012_02_00.pdf

減損ウラン~劣化ウラン

減損ウランと劣化ウランは、天然ウランよりも235U濃度が低い、という点で共通しており、区別せず使われることも多い (英語ではどちらも depleted uranium)。 あえて区別するときには下図が参考になるかと思う。

下図:米国の原爆製造(マンハッタン計画での2つの道)

ウラン採掘
┌──── ┴───── ─────
濃縮 原子炉
再処理
├──── ┌────
濃縮ウラン 劣化ウラン 減損ウラン プルトニウム
├─────
島型原爆 劣化ウラン弾 長崎型原爆

出典:小出裕章劣化ウラン兵器と核サイクル,http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kouen/DU0509.pdf

出題実績

第31回、核燃料物質の化学的性質及び物理的性質、第5問「劣化ウランと減損ウラン」を簡単に説明せよ。

第33回、核燃料物質の取扱いに関する技術、第5問「減損ウランと回収ウラン」を簡単に説明せよ。