第31回 核燃料取扱主任者試験 核燃料物質に関する法令

第1問

次の文章は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律並びにその関連する法令に関するものである。 文書中の空欄にあてはまる適切な語句又は数値を番号とともに記せ。

(1) 原子力の研究、開発及び利用は、[①平和の目的]に限り、[②安全の確保]を旨として、民主的な運営の下に、 自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。

備考:基本法第2条

(2) 加工事業者は、核燃料物質の取扱いに関して[③保安の監督]を行なわせるため、 核燃料取扱主任者免状を有する者のうちから、核燃料取扱主任者を選任しなければならない。 核燃料取扱主任者は、加工の事業における核燃料物質の取扱いに関し、誠実にその職務を遂行しなければならない。 また、加工の事業において核燃料物質の取扱いに従事する者は、核燃料取扱主任者がその取扱いに関して[④保安のためにする指示]に従わなければならない。

備考:法律第22条の2、法律第22条の4

(3) 内閣総理大臣は、核燃料物質による[⑤災害の防止]のため必要があると認めるときは、加工事業者に対し、 保安規定の[⑥変更]を命ずることができる。

備考:法律第22条

(4) 「保全区域」とは、再処理施設の保全のために特に[⑦管理]を必要とする場所であって、[⑧管理区域]以外のものをいう。 また、保全区域については、[⑨標識]を設ける等の方法によって明らかに他の場所と区別し、 かつ、[⑦管理]の必要性に応じて[⑩立入制限]、かぎの管理、[⑪物品の持出制限]等の措置を講じなければならない。

備考:再処理規則第1条、再処理規則第9条

(5) 再処理事業者は、核燃料物質の盗取又は[⑫所在不明]が生じたとき、あるいは再処理施設の[⑬故障] (再処理施設に及ぼす支障が軽微なものを除く。)があったときは、その旨を[⑭直ちに]、 その状況及びそれに対する処置を[⑮10日]以内に科学技術庁長官に報告しなければならない。

備考:再処理規則第21条

(6) 管理区域における外部放射線に係る線量当量は、1週間につき[⑯300マイクロシーベルトである。

備考:線量告示第2条

(7) 放射線業務従事者の線量当量限度は、実効線量当量について1年間につき[⑰50ミリシーベルトであり、 眼の水晶体については1年間につき[⑱150ミリシーベルト、 眼の水晶体以外の組織については、1年間につき[⑲500ミリシーベルトである。

備考:線量告示第6条

(8) 緊急作業に係る線量当量限度は、実効線量当量について[⑳100ミリシーベルトである。

備考:線量告示第8条

第2問

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律には、 第48条第1項に再処理事業者が保安のために必要な措置を講じなければならない旨規定されている。 この規定に基づき、使用済燃料の再処理の事業に関する規則第13条には、再処理設備の操作に関する措置が 第1号から第8号にわたって規定されているが、このうち5つについて記せ。

解答例

再処理規則第13条(再処理設備の操作)参照 (1号から8号のうち、5つ記載する。)

使用済燃料の再処理の事業に関する規則

十三条 法第四十八条第一項の規定により、再処理事業者は、次の各号に掲げる再処理設備の操作に関する措置を採らなければならない。

  • 一 使用済燃料の再処理(法第五十条の五第二項の認可を受けた場合にあつては、再処理設備の操作)は、いかなる場合においても、核燃料物質が臨界に達するおそれがないように行うこと。
  • 二 再処理設備の操作に必要な知識を有する者に行わせること。
  • 三 再処理設備の操作に必要な構成人員がそろつているときでなければ操作を行わないこと。
  • 四 操作開始に先立つて確認すべき事項、操作に必要な事項及び操作停止後に確認すべき事項を定め、これを操作員に守らせること。
  • 五 非常の場合に採るべき処置を定め、これを操作員に守らせること。
  • 六 換気設備、放射線測定器及び非常用設備は、常にこれらの機能を発揮できる状態に維持しておくこと。
  • 七 試験操作を行う場合には、その目的、方法、異常の際に採るべき処置等を確認の上これを行わせること。
  • 八 再処理設備の操作の訓練のために操作を行う場合は、訓練を受ける者が守るべき事項を定め、操作員の監督の下にこれを守らせること。

第3問

加工及び再処理の事業に関する規制について、以下の問に答えよ。

(1) 次の(イ)~(ヲ)は、核燃料物質の加工の事業に関する規則に規定された保安規定に定めるべき事項である。 文章中の空欄にあてはまる適切な語句を番号とともに記せ。

(イ) 加工施設の[①操作及び管理を行う者]の職務及び組織に関すること。

(ロ) 加工施設の放射線業務従事者に対する[②保安教育]に関すること。

(ハ) [③保安上特に管理を必要とする設備]の操作に関すること。

(ニ) [④管理区域及び周辺監視区域の設定]並びにこれらの区域に係る立入制限等に関すること。

(ホ) 線量当量、放射性物質の濃度及び放射性物質によって汚染された物の[⑤表面の放射性物質の密度の監視並びに汚染の除去]に関すること。

(ヘ) 放射線測定器の管理及び[⑥放射線の測定の方法]に関すること。

(ト) 加工施設の[⑦巡視及び検査並びにこれらに伴う処置]に関すること。

(チ) 核燃料物質の[⑧受渡し、運搬、貯蔵]その他の取扱いに関すること。

(リ) 放射性廃棄物の廃棄に関すること。

(ヌ) [⑨非常の場合採るべき]処置に関すること。

(ル) 加工施設に係る[⑩保安に関する記録]に関すること。

(ヲ) その他加工施設に係る保安に関し必要な事項

備考:加工規則第8条

(2) 次の文章は、再処理施設の設計及び工事の方法の技術基準に関する総理府令に定められた火災等による損傷の防止に関するものである。 文章中の空欄にあてはまる適切な語句を番号とともに記せ。

(イ) 再処理施設が火災の影響を受けることにより再処理施設の安全に著しい支障が生じるおそれがある場合は、 必要に応じて[⑪消火設備]及び警報設備(警報設備にあつては自動火災報知設備、漏電火災警報器その他の火災の発生を自動的に検知し、 警報を発する設備に限る。)を施設しなければならない。

(ロ) 非常用電源設備その他の[⑫安全上重要な施設]であつて、火災により損傷を受けるおそれがあるものについては、 可能な限り[⑬不燃性]又は[⑭難燃性]の材料を使用するとともに、 必要に応じて防火壁の設置その他の適切な防火措置を識じなければならない。

(ハ) 有機溶媒等を取り扱う設備であつて、静電気により着火するおそれがあるもの及び [⑮水素]を取り扱う設備(爆発の危険性がないものを除く。)は、適切に[⑯接地]しなければならない。

(ニ) 硝酸を含む溶液を内包する蒸発缶のうち、リン酸トリブチルその他の硝酸と反応するおそれがある有機溶媒 (爆発の危険性がないものを除く。)が混入するおそれがあるものは、当該設備の[⑰熱的制限値]を超えて[⑱加熱]されるおそれがないものでなければならない。

(ホ) [⑮水素]の発生のおそれがある設備は、発生した[⑮水素]が滞留しない構造としなければならない。

(ヘ) ジルコニウム金属粉末その他の著しく[⑲酸化]しやすい固体廃棄物を保管廃棄する設備は、 [⑳水中]における保管廃棄その他の火災のおそれがない保管廃棄をしうる構造としなければならない。

備考:再処理 総理府令第4条

第4問

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づく廃棄の事業に関して、次の問に答えよ。

(1) 「核原料物質又は核燃料物質によって汚染された物の廃棄物埋設の事業に関する規則第8条第2項」及び 「核燃料物質等の埋設に関する措置等に係る技術細目を定める告示」において、 廃棄体に係る技術上の基準が規定されている。 次の文章はこれら廃棄体に係る技術上の基準のいくつかを記述したものである。 文章の空欄の部分に入る適切な語句を番号とともに記せ。

(イ) 放射性廃棄物を容器に固形化する場合において、容器内に有害な[①空げき]が残らないようにすること。

(ロ) [②放射能濃度]が申請書等に記載された最大[②放射能濃度]を超えないこと。

(ハ) 次のような廃棄体の健全性を損なうおそれがある物質を含まないこと。

  • 爆発性の物質又は水と接触したときに爆発的に反応する物質
  • [③揮発性]の物質
  • 自然発火性の物質
  • 廃棄体を著しく腐食させる物質
  • 多量に[④ガス]を発生させる物質

(ニ) 埋設された場合において受けるおそれのある[⑤荷重]に耐える強度を有すること。

備考:埋設 告示第4条、第5条

(2) 次の記載内容について法令上違反しているか否かを答えよ。 また、違反している場合にはその理由を記述せよ。

(i) 放射性廃棄物を保管廃棄した場所を変更するので、変更前の保管廃棄した場所を記載した 当該放射性廃棄物に関する記録を焼却した。

解答例:違反

理由 保管廃棄した場所の変更は、設計及び工事の方法の認可を受け、使用前検査に合格する必要がある。 その後古い検査記録等は処分しても問題はないが、計画段階での処分は違反である。

さらに当該放射性廃棄物に関する記録について、変更する前の放射線管理記録等についても含めているのであれば、 10年保存と定めされているため、いずれにしても違反である。

  • 法令第51条の7(設計及び工事の方法の認可)
  • 管理規則第6条(設計及び工事の方法に係る軽微な変更)
  • 管理規則第26条(記録)

(ii) 廃棄物管理事業者が廃棄物管理施設の修理を行い、その状況とその担当者の氏名を記録したが、 10年を経過しても同施設に異常がなかったので、当該記録を焼却した。

解答例:正解

解説:保守記録の保存において、廃棄物管理施設の状況及びその担当者の氏名については一年間と定められており、違反ではない。 管理規則第26条(記録)

(3) 次の文章は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」第51条の16第2項の規定に基づき、 廃棄物管理事業者が検査に関して採るべき措置について述べたものである。 次の文章の空欄の部分に入る適切な語句を番号とともに記せ。

(i) [①警報装置]、非常用電源装置その他の非常用装置については、当該装置の各部分ごとの当該作動のための[②性能検査]を[③1月]ごとに、 当該装置全体の当該作動のための[④総合検査]を[⑤1年]ごとに行うこと。

(ii) 廃棄物管理施設の保安のために直接関連を有する計器及び[⑥放射線測定器]については、較正を[⑦1年]ごとに行うこと。

備考:管理規則第30条

第5問

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に基づき、 核燃料物質又は核燃料物質によって汚染されたものを工場等の外において運搬する場合について、 次の文章の空欄の部分に適切な数値又は語句を記せ。

(1) 核燃料物質又は核燃料物質によって汚染されたもの(以下本問において「核燃料物質等」という。)は、 その区分に応じ次の種類の核燃料輸送物として運搬しなければならない。

(イ) 危険性が極めて少ない核燃料物質等として科学技術庁長官(以下本問において「長官」という。)の定めるもの 【[①]型輸送物】

(ロ) 長官が定める量を超えない量の放射能を有する核燃料物質等((イ)のものを除く。) 【[②]型輸送物】

(ハ) 長官が定める量を超える量の放射能を有する核燃料物質等((イ)のものを除く。) 【[③BM]型輸送物又は[④BU]型輸送物】

ただし、[⑤放射性物質]及び[⑥表面汚染物]は、IP-1型輸送物、IP-2型輸送物又はIP-3型輸送物として運搬することができる。 また、[⑦核分裂性物質]を核燃料輸送物として運搬する場合には、核分裂性輸送物の技術上の基準に適合しなければならない。

(2) 核燃料輸送物([①]型輸送物を除く。)の表面における長官の定める線量当量率は[⑧]ミリシーベルト毎時を、 表面から[⑨]メートル離れた位置における長官の定める線量当量率は[⑩0.1]ミリシーベルト毎時を超えてはならない。 また、核燃料輸送物([①]型輸送物を除く。)の表面において、 アルファ線を放出する放射性物質の密度は[⑪0.4]ベクレル毎平方センチメートルを、 アルファ線を放出しない放射性物質の密度は[⑫]ベクレル毎平方センチメートルを超えてはならない。

(3) 核燃料輸送物を車両に積載した状態における線量当量率は、車両の表面では[⑬]ミリシーベルト毎時を越えず、 車両の前面、後面及び両側面から[⑭]メートル離れた位置では[⑮100マイクロシーベルト毎時を越えず、 車両による運搬に従事する者が通常乗車する場所では[⑯20マイクロシーベルト毎時を越えてはならないこととされている。

(4) 「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」第59条の2第5項の規定による核燃料物質等の運搬の届出をして、 運搬証明書の交付を受けようとする者は、運搬届出書を当該運搬の経路である区域を管轄する[⑰都道府県公安委員会]に提出しなければならない。

[⑰都道府県公安委員会]は、運搬の届出があった場合において、運搬の経路、日時その他総理府令で定める事項について必要な[⑱指示]をすることができる。

(5) 核燃料輸送物に火災が起こり、又は核燃料輸送物に延焼するおそれのある火災が起こった場合は、 火災の[⑲消火]又は延焼の防止に努めるとともに、直ちにその旨を[⑳消防吏員]に通報すること。

備考: - 外運搬規則第3条 - 外運搬規則第11条 - 外運搬告示10条 - 外運搬規則第5条 - 運搬規則第11条 - 法律第59条の二第5,6項 - 運搬届出総理府令第2条 - 運搬規則第18条

出典

谷内 茂康; 佐藤 忠; 須賀 新一; 小室 雄一; 内田 正明; 中島 邦久; 中村 仁一; 雨澤 博男; 大村 英昭; 湊 和生; 武田 常夫; 櫛田 浩平; 傍島 眞 核燃料取扱主任者試験問題・解答例集,1999~2003年, JAERI-Review 2003-025,https://doi.org/10.11484/jaeri-review-2003-025